のんのんびより 1-12 雑感

 複式学級の学校があるような田舎に住む子供たちの日常を描いた漫画。
 大きなストーリーはありません。ひたすら遊んで、笑って、騒いで、怒られて、子供たちの田舎暮らしを描写しているだけです。
 それが、本当に素晴らしい。

「いまの子どもと昔の子どもと、どっちが幸せだと思う?」
 わたしがきくと、教授はあっさり答えた。
「どっちも幸せだよ。子どもは、いつの時代だって幸せなんだ。また、幸せでなくちゃいけないんだ。」
   (はやみねかおる.そして五人がいなくなる (Kindleの位置No.3528-3532))


 まさにその通りで。
 子供が子供時代を謳歌する様を見ることの、なんて幸せなことか。

 (4巻 No.142)

 (12巻、No.9)

 自然豊かだけど不便も多く、デパートに行くのも小旅行で、歩くと必ず顔見知りに出会う田舎。彼女たちはそこで生きている。今ここで人生の輝ける一つの時間を過ごしている。
 大いに遊ぶがいい――と読んでいてほころぶのも当然かなと。飽きることなく追っていきたい作品になっていました。


 要素としては田舎の遊びを上手く描いているとか、発育の良い小学5年生の蛍の体に見合わない小学生っぷりが可愛いとか、蛍の中学2年の小毬への懐きっぷりが可愛いとか、色々と語りたいところはありますが、何とはともあれ、れんげ×駄菓子屋が最高。
 れんげは小学1年生で、素直で聞き分けはいいけどまだまだ当然子供。駄菓子屋は文字通り駄菓子屋を営む20歳の女性で、強気で勝気な性格をしています。
 駄菓子屋が遊び場の一つなので子供が集まるのも当たり前なのですが、れんげは殊更折に触れて駄菓子屋に声をかけますし、つんつんしている駄菓子屋もれんげにだけはかなりダダ甘い対応を取ります。
 その不思議な関係性だけでも美味しいのですが、彼女らの原風景が5巻で語られ、尊さが有頂天でした。
 物語の5年前、田舎ならではというか、子供の浅知恵というか、当時中学3年生だった未来の駄菓子屋は1歳のれんげの世話を彼女の姉から託されます。そのドタバタは見ものではあるのですが、まあ結果としてこうで。

 (5巻、No.143)

 このとき1歳のれんげは懐いたし、駄菓子屋はれんげをある種大切な存在として懐に受け入れました。
 れんげはその頃の細かいところはおそらく覚えていないでしょう。でも駄菓子屋が心の底の底から自分を裏切らない存在だとはきっと信じているのでしょう。
 そういう親愛をベースにしての、長じてからの2人の関係ややり取りにはにやにやさせられっぱなしでした。


 以上。好きな作品になりました。次はアニメを観てみようかなーと思います。

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