MinDeaD BlooD〜支配者の為の狂死曲〜 CompleteEdition 雑感

 以前プレイして名作と受け止めた作品をリプレイしよう企画、その3。その1はさくらむすび、その2はこなたよりかなたまで
 備忘録なのであまり長々とした文章は書かないつもりです。


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 青年・七瀬しずるは美しい双子の吸血鬼に目覚めさせられた。記憶を無くし、なぜ吸血鬼となったのかも、なぜ人工都市の館にいたのかも覚えていない。だから、彼は吸血鬼としての新しい生を全うするため、思うままに快楽に耽っていく――

 
 エゴイスティックで、バイオレンスで、にも関わらずとびっきりリリカル。
 ゴア・スクリーミング・ショウ、夢幻廻廊、EXTRAVAGANZAまで(個人的なプレイ順はエロゲに入った時期の問題からGSC→MDBでしたが)。問題作のGUN-KATANAも含めたい気分もありますが、あの時のブサイクは異常なぐらいに連続してレベルが高い作品を送りだしてくれました。
 清らかな面でも暗黒の面でも何が飛び出るかわからないびっくり箱のシナリオ、血飛沫や腸や汚物・吐物が飛び交うCG、鳴り響く電気式華憐音楽集団のゴシック音楽などなどに、のめり込んでプレイしたものです。

 本作は結局Black Cycにしか作れなかったそんなゴアADVの名作群のほぼ嚆矢になるでしょう。
 プレイした初回はまず、誰もが閉口するプレイの難易度に矢張り辟易しました。50日の間でしずると双子の島内の行き先を選択し、エリアでのイベントで吸血すればしずるの力と吸血される眷属の汚染度とが上昇し、それらの値によってフラグが立っていくというシステムなのですが、選択が多い上に作品内のヒントが乏しく、自力でのフラグ管理はほぼ不可能。初回は挑んだのですが何も起きずに終わってしまうことが多く嫌になって攻略に頼り、リプレイした今回はもう最初から攻略に従って行きました。

 ストーリーは吸血鬼物としてシンプルです。吸血鬼に染まりきり人を食い続けるか、記憶を取り戻し人と異なった行為をした報いと贖いを受けるか。途中のイベントもさして印象深い訳ではないのですが、クライマックスの展開と魅せ方が上手で、結末が見事なことで経過も含めて満足してプレイを終えられたのかなと思います。
 メインのエンディングは甲乙つけ難いですが、『未来への旅立ち』の乾いた虚しさが一番好きですね。加えてラストに表示される一枚絵でその美しく切れ味の良い終わりの破綻が示唆されるのがほんと心にキました。

 エロはスプラッタとスカトロありありで過激ではあるのですが、リョナ一辺倒に傾倒し過ぎない程度にはコントロールされていて、破壊だけだとついていけない身としても滅法楽しめました。悠香・今日子・麻由と言った気の強い美少女達を精神と身体と両方から存分に貶めて汚して堕としていくのはイイねえこういうの大好きと美味しくいただきましたね。別のルートではあんなに心を通わせたり、笑い合ったりしたり、素晴らしいエンディングを迎えたのにねえ――という良い思い出が穢す絶妙のスパイスかと。
 あと東先生のはっちゃけさと、悪趣味さにも乾杯。
 
 他に印象的だった場面はいくつかあるのですが、百合を少しかじった身からすると、悠香×今日子のほんのちょっとした短時間の逢瀬がめがっさキュートに感じました。
 吸血鬼に襲われたのを辛くも逃げ出した先の、桜の下。
 力を振るって発情した悠香が今日子に迫り、今日子がまあいいかと受け入れた、その受容の甘さと言ったら。

悠香「毛は……薄目なんだ……」
今日子「あんた……もう少し考えて言いなさいよ」
悠香「え……なに、が……?」
今日子「頭、全然働いてないでしょ……」
悠香が不思議そうに首を傾げると、今日子は諦めたように首を振った。
いまさら何を言っても仕方がない。
本音を言えば顔から火が出そうなほどに恥ずかしいのだが、子供のように甘えてくる悠香を見ていると、全て受け止めてあげようという気になってきた。
手をひらひらとさせて一言。
今日子「気にしないで」

 どちらも確固とした強い自我を持つ美少女達が偶々出会い、その瞬間だけ互いにどろどろに溶ける――ああ、なんという至福の時間だったことでしょうか。


 以上。リプレイでもシナリオとエロは存分に楽しめましたが、やはり選択が面倒なのでもうプレイはしない気がしますね・・・。

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