ラクガキ☆ぴーすふるっ! 感想

 主人公は唯一のオカルト部員にしてまったり変人の女子高生。そんな彼女の友人に果たし状が来て、さあどうするか――という導入のフリーゲーム


 ゲームパートは3日間7時間の授業を受けるSLG風味でした。授業中に寝たり、筋トレしたり、妄想したりして己を鍛えます。また休み時間にゴミを拾い、黒板を拭き、友人と会話することで好感度を上げたり、アイテムをゲットしたり、無駄な勲章を得ていきます。上げた数値とアイテムとで不良と戦うのが目的となるのですが、かなり容易な戦闘となっています。数値引き継ぎの周回プレイ可能であり、2週目からはつまることはないでしょう。


 興味を惹かれたのはゲーム全体を覆う独特のセンスです。まずキャラクタですが、消しカスを振りまく変人男子、木くずを振りまく変人男子、10歩歩いて息切れするヤンデレ少女、騒音ヘッドホン少女などなど、みんな何処かずれているのですが、確固たる芯があるという立った造形になっていました。こうした変なサブキャラ群が騒ぐだけではないのが上手い所で、彼らを主人公が困ったもんだと冒頭で紹介するのですが、ゲームを進めて行って変人なキャラクタ達と会話を重ねることで、主人公のとぼけた変人さが徐々に伝わってくるようになっていました。日常会話でありながらずれにずれたものを読むことで、首を捻る角度が大きくなっていき、ああやっぱり主人公の内面は変だわと納得出来る作りはあまりにも自然な流れで感嘆しましたし、その主人公の好感が持てる変わり様もキュートでした。
 そう、キュート。或いは可愛いというのが本作の捉えがたい良質なセンスの第一印象です。
 しかし、それにしても文量が多量にあるわけではない会話によって醸し出したい雰囲気を生成する――というのは端倪すべからざる素質と言えるでしょう。
 ゲームパートも随所でそこはかとなく変であり、慎ましくわざとらしくない加減は絶妙でした。
 シナリオはエンディングが幾つかあり、周回プレイの楽さと合わせて回収しやすくなっています。出来は当然素晴らしく、良い話でした。
 そうそう初回プレイの仕掛けも面白かったです。
 

 以上、会話芸を楽しませていただきました。お手軽にプレイ出来ますし、超お薦めです。

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