魔法戦姫エンジェル☆ナナ 感想

 少年・修輔はかつて魔術師になることを求めたが才能が無く断念した。けれども、ふとしたことで手に入れた『術書』によって、幻影を発生させるミラージュなどの呪術が使えるようになった。修輔は学園生活を送りながら望んでいた力を自分なりに鍛え上げていた。しかしミスにより自分=呪術師の存在が外にばれてしまった。そして不完全な魔術師=呪術師を狩るために学園に3人の魔術師がやってくる――


 という感じの内容。3人の魔術師たちを性奴隷に仕立て上げて自分の存在を隠蔽しようという目的まではホームページに書かれている通りであり、まさに抜きゲーという具合の目的の飛び方です。
 しかしプレイ一周目で疑問が湧いてきます。何と、全く凌辱シーンが出てきません。修道的に己を鍛えていて冷静な主人公のモノローグを通じて、3人の美少女転校生と部活動をするぬるま湯のような学園生活が語られることになります。判りやすい例で言えば『ひぐらしのなく頃に』の部活シーンのように、他のグループとのバスケット対決や校舎でのサバイバルゲームとジャンル不明な展開になります。しかもモノローグは冷静でありながら熱い所では熱くなる独白であり、構成は計算されていてそれなりに読み応えがあります。そうして、ぬるま湯の学園生活の果てに終わりが来るのですが、主人公の漸く手に入れた呪術への思いとそれを否定する圧倒的な力を持つ魔術師の論理が対決する、短いことがプラスに作用した想像の余地を残す複雑なEndingとなっています。


 にもかかわらず曰く言い難いのですが、2週目以降は軽やかに魔法少女凌辱ゲーに舞い戻ります。しかもどれもこれもかなり癖のある凌辱とオチがつく印象的なものとなっています。暴力と計算両方に物を言わせヒロインたちを心身共に追い詰めるのですが、壊し切る過程のバイオレンスさと壊しきれなかった際のヒロインたちの不屈さは読み応えがありました。エロイかどうかと聞かれると痛々しさが先に来るのですが、計算された非道さは18禁の魔法少女モノとして望ましい因子の一つではないかと思います。またエンド名は“END with sacrifice”など素っ気ないのですが内容と合って硬質なイメージを増していました。


 そういう凌辱のパターンを5回ほど繰り返し、物語は新たな局面を迎えます。それまで修輔は計算高く一人ずつ個別撃破していたのですが、3人同時に立ち向かってみて力量を図ろうとします。――要は愚行なのですが。しかも“だからこそ”ヒロイン個別エンドを迎えてしまう摩訶不思議な展開を迎えるのですけどねー
 主人公が壊そうとして壊れずなお立ち上がるヒロインを前にして、そうではなくてはならないと喜ぶシーンも必見です。魔術師に成りきれなかった呪術師からの魔術師へのコンプレックスが効いています。
 なお途中で彼女たち魔術師の来た目的が語られるのですが引き返せない所まで来ているため頓着されません。が、これまた後々効いてきます。


 そう、最後の周に――とんでもない、本当にとんでもない仕掛けが爆発します。最初のぬるま湯のシナリオも、それまでの凌辱の周回プレイも、それぞれのエンディングの違いも、そして主人公の渇望さえも、何もかもを引っくるめて引っくり返す大仕掛けです。凌辱魔法少女物と条件を全て同じにしながら、痛切な青春物に向けて全てが蹴っ飛ばされます。しかも生半可ではなく、コンプレックスや渇望を主人公とヒロイン共々きちんと拾った美しい解になっています。
 納得出来るかはともかく、凄い、と言うしかありません。仕掛けにも、凌辱ゲームに仕掛けようとした意図にも。
 

 文章はやっぱり淡白です。けれども上記で興奮しているように、後に「時間封鎖」などに続くなるみおかずシナリオのセンスを随所で堪能出来ました。所々中二病設定ですが、きつくはないかと思います。


 絵はやられる痛々しさが出てました。それに体位や弄られての胸の変形加減も良かったです。コスチュームのセンスは少しどうかと思いますが、まあ愛嬌でしょう。

 
 以上。変な魔法少女物でした。

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