2DK、Gペン、アフタータイム。 大沢やよい短編集 雑感

 大沢やよいによる百合漫画短編集。
 『2DK、Gペン、目覚まし時計。』のアフターストーリーが読めるのが看板の一つです。あれからの甘々な日常を描いてあり、当シリーズを読み通した身としては確かに大いに楽しみませてもらいました。
 しかし本短編集で最も時めいたのはその作品ではありません。

 この短編を読むためにこそこの本を購入したのだ――というレベルにほれ込んだ一編、それが「キャンパスにトラップ」という短編です。
 惚れた理由を一言でいえば、性癖にどストライク、みたいな。
 いや、ほんとシチュが最高なんですよ、これが。
 メインの登場人物は女性の大学教授・柏木と女子大学生の日野の2人。課題を提出せず叱るお堅い先生の柏木に対して嘘の理由で煙にまくいい加減な学生の日野という関係で始まります。しかし日野が夜のバイトでしているレズ風俗のデリバリーで呼ばれた相手が柏木だったことから奇妙な関係になっていく――と進んでいきます。
 奇妙と言っても最初はえっちいものではなく、日中観る真面目な様子とは打って変わって酒をかっくらって酔っぱらう柏木がホテルの部屋で日野に課題を強制してその前でひたすらくだを巻くという、まさに変な関係です。

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 これにストレスのたまった日野が柏木をとうとう襲うくだりの展開が神でした。
 爛れた学生のターン!と言わんばかりに責めていく日野。そして裸にされ、前戯に悶えて、後ろにくくった髪をほどかれた柏木が漏らす一言。

 クソガキ……(kindle No.163)

 ここに込められた艶やかさに個人的なツボのツボを連打された次第。
 一連の表情と体が最高なのでぜひぜひ本文で御覧じろ。


 以上。マイベスト級の短編に当たると思わぬ、良い拾い物でした。

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