私の拳をうけとめて! 1 感想

 フリーターの武部は脱ヤンするためにファッションショップへと足を運ぶ。そこで声をかけてきた店員・空森はかつて高校時代にしのぎを削った元ヤンの女性だった。意外な再会を経て、空森は武部に更に意外な告白をする――


 という百合漫画。
 劇的なイベントは起きず、恋愛色もそこまで強くなありません。圧される武部に圧す空森という図式でどうにも一般的な社会人女性のノリが苦手な二人が、だんだんと仲良くなっていくのを描いています。
 2人のキャラクタの造形は好感度が高いものになっていましたし、2人の関係の空気の描きようが上手いので、かなり楽しんで読むことが出来ました。

 
 2人のキャラクタの造形――擬態がそれなりに巧みな空森と、全く自分を隠せない武部と。
 武部の方がより精度が高いというか、成長や変化を見守りたくなるし、彼女を好きだと思う気持ちが分かるようになっていました。根が全うで実は寂しがり屋なヤンキー――というのは割とよくあるタイプではあるのですが、人見知りとほだされやすさのバランスが抜群であり、そこに何摘みか人恋しさが加味されて、ちょろいヒロインとして見事な完成を得ていました。

(No39)

 空森の告白で、ここから2人の関係は始まり、数話もしないうちにこうなります。

(No148)

 なんというちょろさか――と思うわけなのですよ、ええ。
 こうキャラクタの表情の喜怒哀楽だけだとぱっと見で分かりにくくいのですが、閉塞感があった日常が2人で過ごすのがゆるゆると当たり前になっていくのににやにやさせられました。


 最初に触れた社会人女性の在り方に2人が慣れないコメディパートもわりと面白く、おっかなびっくり真似事をして、なんだかんだで彼女らなりに消化するのに笑かしてくれました。


 以上。お気に入りの作品になりました。出来れば長く続いてほしいですが如何。

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