吉原御免状 雑感

1657年のこと、宮本武蔵の弟子・松永誠一郎は遺言通り26歳で修行していた山を下り、吉原を訪れた。誠一郎はそこで徳川幕府の闇と、日本古来から歴史の裏に隠れ住んでいた民を知る。歴史を壊さんとする吉原の御免状を求める柳生との死闘を乗り越え、花魁の町…

ふたりべや7 雑感

高校生から始まった桜子とかすみの同居生活も6年目。大学2年の学園祭~大学3年の秋までを描いています。 就活が始まってかすみが黒染にしたりと変化はあるけれど、どんなときにもどんなところにも一緒に行動するのは変わらず、桜子とかすみの仲は緩やかに深…

裏世界ピクニック4 雑感

理解のできない恐怖をあおる異形と異常現象が跋扈する裏世界を女子2人組が探検する百合ホラーSFの第4巻。 片割れである鳥子の冴月を追う物語にひと段落つき、今度は空魚のパーソナリティを揺るがす恐怖が多くなっていました。 くだん、平ぺったい手をした隣…

ゆるキャン△ 9 雑感

伊豆キャンの後半編。 黄金岬、三四郎島のトンボロ、大室山といったジオスポット巡りや、いつものようにキャンプご飯を囲んでつつきながら皆で過ごす――嬉し楽しの冬キャンの光景はいつまでも眺めていたいと思いたくなる幸せそうなものでした。 似たようでも…

安達としまむら8 雑感

この巻は安達としまむらが付き合いだした後の話であり、修学旅行に赴きます。 しまむらの一人称の語りが多いのですが、しまむらの安達への心理的防御がただ下がっているのをこれでもかこれでもかと見せつけられます。なんでもある程度は受け入れてしまうのが…

夜行 雑感

10年前鞍馬の火祭の日に英会話教室の仲間が一人失踪した。それ以降ばらばらになっていたが、ふとしたことから10年ぶりにその仲間たちが再度鞍馬の火祭を見に行くために集うことになった。その旅先の宿で、10年間にあったそれぞれの旅に纏わる過去が語り始め…

オーブランの少女 感想

独立した短編5編が収録されたミステリ短編集。 文庫版が発売されたのが2016年であり、今回2019年8月に購入してから4か月目にして読んだのですが、只管後悔しています。なんで今まで読んでこなかったんだろう、と。 OHPの紹介文に書いてあるように、少女を巡…

よふかしのうた1 雑感

深夜、14歳の夜守コウは静まる町へと一人繰り出す。ぼんやりとした理由で不登校になった彼は、そこで吸血鬼の少女・ナズナと出会い、彼女に恋をしようと願うようになり少し刺激的になった夜を重ねていく―― ジャンルとしては吸血鬼物の亜種にして、青春物のあ…

Fate/Grand Order-Epic of Remnant-亜種特異点3/亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負 2 雑感

英霊剣豪七番勝負の第2巻。英霊剣豪”アーチャー・インフェルノ"戦の決着までが描かれます。 描かれるのですが・・・相変わらずというか、前巻以上に作画カロリーがやばかったです。 読んでいて、なんなんだこれはと畏れが先にくるぐらいでした。 気の抜けた…

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。14  雑感

待ちに待って、とうとう来てしまった完結編。 好きなシリーズに関しては相反する感情を抱きがちで、作品が目指した美しい終わりを見たいし、延々とその世界が閉じずに物語を届け続けて欲しいとも、都合の良い希望を持ってしまいます。だからこそまあ、打ち切…

アクタージュ 9 雑感

前巻から引き続き、舞台『羅刹女』に挑む2つのチームの準備を描いています。 鉄扇公主を主役としたその舞台は、炎を消す秘宝の持ち主の心の持ち様/怒りがモチーフとして取り上げられます。 そして演技者たちがどう怒りを表現するのか、演出家たちはそんな演…

やがて君になる8 雑感

待ち望んでいて、来て欲しくなかった最終巻。 当座の悩みも葛藤も既に出尽くし、燈子も、侑も、答え合わせのために始まりの生徒会室へと走っていったところからこの巻は始まります。 変わりたい気持ちも、変わって欲しくない気持ちも、相手を好きだという感…

今昔百鬼拾遺 鬼 雑感

昭和28年、7名が日本刀で斬りつけられる辻斬り事件が起きた。最後の事件は女学生が刀で切り殺されたもので、横には血に塗れた刀を持った男がたたずんでいた。女学生の恋人だという彼が全面的に自首したことで事件は解決するかと思われたが―― という感じに始…

紅蓮館の殺人 雑感

. 著名な推理作家が建てた絡繰屋敷を探しに男子高校生2人組が登山していた。道中落雷による山火事に出会い、偶々その屋敷に避難することになった。迫る火から脱出するために秘密の通路を見つけようとする最中、事件が起きる―― と言った感じに始まる、これか…

終わらない歌 雑感

『よろこびの歌』から3年後を書いた小説。 一直線の綺麗なだけの未来は当然のように待っていませんでした。 御木元玲は音大で自らの歌を信じられなくなり埋もれていた――ばかりか、歌で同級生に光を見せたあの御木元玲がつまらない男に引っかかろうとさえ。 …

よろこびの歌 雑感

御木元玲は声楽のため音大付属高校を受験したが不合格となった。不本意ながら明泉女子高等学校普通科に入学してぼんやりした日常を1年以上続けていたが、2年生秋に合唱コンクールで指揮者に選ばれてからなにかが変わっていく―― 合唱イベントと御木元玲の再起…

スペクトラルウィザード 雑感

魔術師とそのギルドはテロリストに認定され、科学技術で武装する騎士団に狩られていく。魔術師は激減し、魔術ギルドは崩壊した。数少ない魔術師の生き残りであるスペクトラルウィザードは市井に隠れて密やかに生きていこうとするが―― 分類ゴーストメイジ、ゴ…

蜜蜂と遠雷 上・下 雑感

第6回芳ヶ江国際ピアノコンクールの予選から本選までを書いた音楽小説。 最初から最後まで、音楽家と音楽の描写に奉仕されます。 結局、誰もが「あの瞬間」を求めている。いったん「あの瞬間」を味わってしまったら、その歓びから逃れることはできない。それ…

華胥の幽夢 雑感

十二国記の第一短編集(新潮文庫での刊行順だと2番目になりますが)。 5編が収録されています。 『風の海 迷宮の岸』後の泰麒の麒麟としての役目の苦悩を書く「冬月」、『風の万里 黎明の空』後の王を弑した月渓の懊悩を書く「乗月」、『月の影 影の海』後の…

図南の翼 雑感

恭は王を失い、国が乱れていた。国難が27年間続き、誰も頼りにならぬと十二歳の少女・珠晶は自分が王になるために蓬山に登る旅に一人出る―― 少女の道程――門を越え、黄海を渡り、蓬山至り、麒麟に逢うまでを書いたド直球のロードノベルでした。 そこには何の…

好きな子がめがねを忘れた 1-2 雑感

隣の座席の気になる女の子・三重さんが眼鏡を忘れたのを純情な男の子・小村くんがサポートする様を連作短編で描いたラブコメ。 本作は何て言うんでしょうか。 シチュエーションが、強い。 眼鏡っ子が眼鏡を忘れて睨み目になるシチュ萌えの最右翼です。 ふわ…

丕緒の鳥 雑感

新潮文庫に移ってから新しく編まれた十二国記の短編集となります。 一読してべた惚れ。こういうの大好き、という短編ばかりでした。 作品内世界の常識・共通認識・標準技術のみに基づき描写されることでその常識・共通認識・標準技術そのものへの理解がより…

レイセン File1-8 雑感

『戦闘城塞マスラヲ』で聖魔杯を生き抜いたヒキオタニート・川村ヒデオが宮内庁神霊班に就職してからの騒動を書いています。 目つきが凶悪に悪く闇の住人や暗殺者などに勘違いされ、ストレス負荷がかかりすぎてぷっつんした時の口八丁で神や精霊までも唆すが…

風の万里 黎明の空 上下 雑感

十二国記の4作目は、3人の少女の物語でした。 1人は公主からの失墜を恨む少女――祥瓊。彼女は自らと同じ齢の少女が景王となりちやほやされることが許せず、簒奪するために景王に会おうとします。 1人は蓬莱から海客として漂着した日本人の少女――鈴。彼女は言…

東の海神 西の滄海 雑感

十二国記の3作目。 雁州国に延王尚隆が即位てから20年後、州候を父から委譲させた斡由がさらに上帝にならんと謀反を起こした顛末を書いています。 後に500年は続く雁国がまだ盤石ではない時代で尚隆と六太とがまだ完全には以心伝心に至っていない未熟な関係…

風の海 迷宮の岸 雑感

麒麟として生まれる前に蓬莱に流され人の子として育った泰麒は10年後に蓬山に帰還する。彼はそこで王を選ぶ麒麟としての生き方に悩んでいく―― 十二国記の2作目。時系列としてはエピソード0「魔性の子」の高里が10歳ごろに神隠しに遭っていた時です。 高里/…

月の影 影の海 上下 雑感

平凡に生きてきた女子高生・陽子が教師に怒られていた時に奇妙な青年が突然現れて忠誠を誓われた。そして彼女は妖魔に襲われながら別の世界へと連れられていった。そこで1人にされた陽子は元いた日本へ帰る手段を探すために異世界を彷徨っていく―― 十二国記…

魔性の子 雑感

小学4年の時に神隠しに遭い、1年後に還ってきた少年・高里。彼に害を与えた人間には報いが訪れ祟ると噂されていた。高里が通う高校に教育実習で広瀬が赴任した時と同じくして高里の周囲に不穏な空気が立ち込めていく―― 十二国記のエピソード0であり、最も最…

今昔百鬼拾遺 天狗 雑感

高尾山に登ると言い残した女性が失踪してから2か月後、失踪した女性が身に着けていた衣服を纏った"別の女性"が”別の山"で飛び降り自殺した死体で発見された。 天狗に攫われたような奇妙な事件が中禅寺敦子の元に持ち込まれ、彼女が持ち前の理性と正義感をも…

あせとせっけん 1-4 雑感

舞台は化粧品・バス用品メーカーの経理部勤務の八重島麻子は子供の頃から汗かきであることがコンプレックスで、制汗剤と消臭剤が手放せなかった。自社の新製品を楽しみにしながら地味に暮らしていたが、商品開発部のプランナーにして匂いフェチの名取香太郎…