パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り 1、2 雑感

電子書籍のみで出版されている川上稔の短編集。それぞれ独立した恋愛短編小説が5本ずつ収録されています。 作者はこれまで長編の中で数多くの印象的な相補性のある相方同士を生み出してきました。それは主役敵役脇役問わずであり、例えば都市シリーズでは≪救…

同棲生活 1-3 雑感

ライターをしており在宅勤務の年上・みゆきさんと、一般企業に勤める年下・ゆうちゃんとの社会人百合同棲物。 基本的に部屋での2人の日常を描き、あまり部屋の外は描写されません。そのカップルが同棲している空気を吸えるのがラブコメ的に秀逸でした。 (同…

緋色の囁き<新装改訂版> 雑感

厳格なお嬢様学校である聖真女学園高等学校に転入させられた冴子は自らを魔女だと語る女生徒とルームメイトとなる。そしてルームメイトが焼死体で発見された夜から、女生徒を被害者とする連続殺人事件が起きるようになった―― という感じに始まる、綾辻行人氏…

戦の国 雑感

戦国時代を舞台にし著名な武将を視点人物とした短編集。 歴史物なので変な言い方ですが、人物の設定が共有されている連作形式となっていました。 まず個人的には、史実を語るのではない歴史小説が書かれる場合では作者ならではの解釈を望んでいます。 史実の…

ハロー・ワールド 雑感

数々の素晴らしいSF小説を世に生み出してきた藤井太洋氏による新規の短編集。 既刊のどの作品もテクノロジと人とをバランス良く扱ってきましたが、本作に収録されている短編はいずれも人間社会にテクノロジをどのような意志を持って適用されるかどうかにより…

【推しの子】1-3 雑感

太陽みたいな笑顔 完璧なパフォーマンス まるで無敵に思える言動 吸い寄せられる天性の瞳 (【推しの子】3、kindle No.142) ――B小町のアイ、一世を風靡したアイドル。 活きの良いシリーズは展開が圧縮されて速くて強い面があると個人的に考えていますが、本…

夢に現れる君は、理想と幻想とぼくの過去 雑感

会社を辞め親友の家に同居しているぼくは夢で死者に会う方法を知る。死んだ幼馴染に会うためにぼくはその方法を試し、かつての反省をやり直そうとする―― 初めて読んだ作家でオールタイムベスト級に好きな作品に出会った後に当然とる行動は、他の作品にあたる…

五等分の花嫁 1-14 雑感

高校2年生の上杉風太郎は五つ子の美少女と出会い、親の借金を返すアルバイトのために彼女らの家庭教師になった。 5年後、彼はその中の1人と結婚式を挙げることになるのだが、いったい誰とだろうか―― という学園ラブコメ。 赤点すれすれの低空飛行の五つ子の…

潮が舞い子が舞い 1-5 雑感

海が近い田舎町の高校生らをメインとした群像劇。 青春物としてポイントがかなり高く、最新刊の5巻まで一気に購読しました。 何が良いかって、空気が良い。 等身大の高校生たちが喋り合う時間の切り取りとして抜群に上手い。 (1巻 kindle No.63) (1巻 kin…

筺底のエルピス 7 雑感

3つのゲート組織は全て制圧された。 当主・百刈燈は異星知性体に乗っ取られた。 日本最強の棺使い・阿黍宗佑は殺されて、身体を改造されようとした。 世界が終わるまで数十分、百刈圭らは再起を果たせるか―― 阿黍宗佑の再生が終わって敵の傀儡として本部の外…

ハーモニー コミック版 3 ,4 雑感

とうとう最終巻まで読んでしまいました。 トァンとミァハの物語、そして人類の意識の物語はここに終焉を迎えました。 原作からして傑作なのですが、最初から最後までとんでもない画で素晴らしいコミカライズを成し遂げたことに感謝を。これは描き上げるのに…

2.5次元の誘惑 1-8 雑感

漫画研究部の部室で1人アニメに興じてた少年をコスプレイヤー志望の少女が訪れる。エロいコスプレのROMを作りたい、ついては写真を撮って欲しい、と。そして好きな物を好きだと主張するオタクの生き方を始めていく―― 評判は良かったもののジャンプのエロラブ…

飛び立つ君の背を見上げる 雑感

『響け! ユーフォニアム』のスピンオフ小説で、中川夏紀視点で3人の同級生――吉川 優子、鎧塚 みぞれ、傘木 希美――とのエピソードが語られます。 まずこのシリーズはアニメ経由で決意の最終楽章前編が刊行された頃に原作小説に手を伸ばしました。入学し、部…

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い! 19 雑感

高校3年の夏休みの終盤~2学期の初日までが収録されています。 本シリーズはこれまで多くの話を重ねて青春物としての実績を積み上げてきました。主人公・黒木智子は自意識過多のボッチから、徐々に徐々に人の輪が広がっていき、誰かと一緒に行動することを念…

葬送のフリーレン 1-3 雑感

魔王を倒した勇者一行の一人、エルフにして魔法使いのフリーレン。彼女は魔王を倒した後、魔法を収集する旅に出た。 そして50年後に流星を観に行こうと約束した勇者の元に訪れたが―― 戦後の物語。或いはエルフの時間 人間の時間――スケールの異なる生き方のお…

ストーカー 雑感

地球外生命体が地球に遺した異常な空間ゾーン。容易に死に至る奇妙な現象の数々を掻い潜りながら残遺物を持ち帰って売りさばく輩はストーカーと称された。赤毛の青年・レッドリックもまたその一人であった―― というSF長編。 古典的名作と名高い作品ですが、…

TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 3 雑感

これまでヤンデレのアラクネやはた迷惑な妖精に魅入られて来て、今度はショタコンの幽霊と、親友たる中性人と出会う―― 1,2巻で偏執的なスキルビルド描写と異種間慕情によってこのシリーズをがっつりと好きになったのですが、我慢していることがあります。 …

TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 1,2 雑感

TRPG愛好者だった主人公が異世界転生をし、熟練度を自由に割り振ることが出来る権能を得た。彼は心の赴くまま、膨大な数のスキルをビルドして生きていくことになる―― というなろうで連載されているネット小説を書籍化したライトノベルシリーズ。 1巻が電子書…

焼いてるふたり 1 雑感

――クールビューティは、好きですか? ラブコメはありえるありえないの話ではなく、どれぐらいありえて欲しいかどれだけにやにや出来るかを重視しています。 マッチングアプリでデザイナーをしているクールビューティ――しかも性格が良くてすれていない――とマ…

世界の終わりの庭で 雑感

遥か未来、嘗ての文明が廃れた世界で、右手のない美しい女性型の機械人形が掘り出された。 ティフォンの名乗るそれは、彼女を売る世話をする同様に女性型の機械人形に嘗てあった出来事を語り出す―― という出だしのSF百合小説。 連作短編形式で、ティフォンの…

この会社に好きな人がいます 1-5 雑感

ツダ製菓会社に勤める同期の男女が犬猿の仲と目されているが、実は隠れて社内恋愛をしている――というラブコメ。 実はけっこうラブコメが好きです。しかも甘ければ甘いほど好きですし、ストレス(疑心暗鬼の三角関係とか親戚関連のいざこざとか)が無い方が好…

光圀伝 雑感

水戸徳川家第2代当主・光圀の一生を書いた時代小説。 歴史を取り上げた小説は作者の解釈が試されます。 時代の流れや出来事は既に決まっており、都合よく動かすことは出来ません。 その上で実在した人物がどう考えて、どう動いて、そしてどう死んだかを、ま…

天涯の砦 雑感

地球を周回する軌道に浮かび観光施設からホテル・工場まで内包した複合体<望天>が大事故を起こし、北極に位置する円盤が崩壊した。円盤から切り離された残骸の中に幸運にも数人と1匹の犬が生き残っていた。彼らはそれぞれの目的のために生還するために行動…

まほり 雑感

少年・淳は山深い渓流で自分の眼を物ともせず小用を足す奇妙な少女に出会う。彼女は山向こうの隔絶された集落に住み周りからは"馬鹿"と称される出だったが、興味を惹かれた淳は少女の正体を探ろうとする。 勝山裕は社会学を志し大学院入試を間近に控えた大学…

Fate/Grand Order-Epic of Remnant-亜種特異点3/亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負 3 雑感

英霊剣豪七番勝負の第3巻。英霊剣豪”アサシン・パライソ"戦の開始までが描かれています。 繰り返しになりますが――絵面が相変わらずトンデモない、の一言。このシリーズの漫画化で見たい絵を想像以上の代物でぶつけてくる手腕は健在。 えげつないぐらいに精緻…

よふかしのうた4 雑感

毎回毎回、小さなコマからシチュエーションまで、フェチのツボを力強く押してくれる本シリーズ。 今回もまた暗くて明るい『よる』のお話として最高でした。 シリアス的に大きな物語が進む後半という見所や、夜の時間を過ごす教師のささやかな挿話でほっこり…

水戸黄門 天下の副編集長 雑感

国史編纂の事業は締め切りを破る作家達のために完成が延びていた。先の副将軍・光圀公は覚兵衛と介三郎とを共に原稿取り立ての旅に出る―― 水戸黄門をパロディにしたギャグ物の時代劇小説。 作家のそれぞれが原稿を書けない言い訳がしょうもない事件になり、…

公園で高校生達が遊ぶだけ 雑感

飾っていない題名のライトノベル。 ちょっとびっくりするぐらいに、本当に題名通りです。 絶対ナニカ裏があるんでしょと思いながら読み進めたのですが、全くそんなことはありませんでした。 高校生たちが放課後から夜にかけて公園に集まって、しょうもないこ…

きつねのはなし 雑感

森見登美彦による怪異短編集。 現代の京都でふと魔に遭い、道が少しずれる。会ってはならないものを見てしまい、目をつけられ、闇を知って真っ当に生きていくことが出来なくなる。そんなはなしです。 「いいですか」 彼女はゆっくりと言った。 「お礼は後日…

アイネクライネナハトムジーク 雑感

伊坂幸太郎による連作短編集。後書きで作者本人が率直に語っているのですが、珍しいぐらいに殺伐とした奇妙な要素が取り上げられず恋愛色が表に出ていました。 いずれの短編も、男女のそれぞれの出会いがメインとなっています。 「じゃあ、おまえの言う理想…