インシテミル 雑感

ある人文科学的実験のバイト広告が掲載された。7日間24時間拘束し、時給は112000円。切実に金を求める者、冷やかしの者、何気ない者、流された者、トラブルを期待する者――様々な事情を持った被験者が集う。12人が<暗鬼館>に閉じ込めれて実験は開始され、そ…

駿河城御前試合 雑感

戦乱の日々が終わり徳川家により天下が統一され家光が将軍についた時代。家光に取って代わろうと目論む秀忠の次子・駿河大納言忠長の命により、駿河城真剣御前試合11番勝負が行われた―― 凄惨なチャンバラ時代劇小説。 非常に高名ですが、「シグルイ」と「腕…

探偵が早すぎる 上・下 雑感

女子高生・十川一華は父の死により5兆円を相続する権利を得て以来、遺産の相続権を巡って親戚に命を狙われることになった。亡き父に雇われた家政婦は事件を発生前に未然に防ぎ同じトリックで仕返しする探偵"トリック返し"を一華のボディーガードとして呼び寄…

月と太陽 雑感

瀬名秀明氏によるSF短編小説集。ノンシリーズの5作が編まれています。時勢によるのかどの短編も東日本大震災の影響が色濃く出ていました。 その上で全体的な印象としては、これまでの作品でもあったような力強いポジティブさを感じました。 より良い未来への…

魔法少女にあこがれて 1-2 雑感

魔法少女推しの平凡な少女・うてなは悪の女幹部に変身させられて魔法少女と敵対することになった。最初は嫌々ながらだったが魔法少女との戦闘を重ねるにつれて、うてなの才能が開花していく―― ジャンルは魔法少女物のパロディにして、ちょいエロありのコメデ…

血界戦線 オンリー・ア・ペイパームーン 雑感

10年後の未来からザップの娘を名乗る少女・バレリーが訪れた。彼女が「スポイラータイム」と言葉にするとき、自動的に未来の出来事が語られる。バレリーの正体と目的をライブラの面々は探ろうとするが―― 内藤泰弘の『血界戦線』を、『魔術士オーフェン』の秋…

Fate/Requiem 1 雑感

嘗て聖杯戦争があった。戦争が終わって平和になった現在、誰もが聖杯を持ち、サーヴァントを召喚するようになった。そして人類は聖杯の力で不老不死を達成した。世界で唯一人聖杯を持たない少女・宇津見エリセは、召喚出来るサーヴァントもおらず、自然に成…

鬼滅の刃 20 雑感

丸々一冊、上弦の壱・黒死牟戦。 時透が左手を失い、玄弥がバラバラに切断され、"岩柱"と"風柱"が巧みに連携をしても追い詰められていく。 如何にしてこの4名で黒死牟の頸を斬るのか――。 まず、この強靭な武を張る敵との戦いが熱い。 これまでの繰り返しでも…

シルトの梯子 雑感

イーガンによるSF長編。ひーこら言いながら2週間かけてちびちび読みました。 それが楽しいので良いのですが、ハードSFここに在りと言う歯応えが強すぎ。一文一文一節一節を理解しながら読み進めていくのはとうの昔に諦めているのですが、ざっくり把握するの…

バーナード嬢曰く。5 雑感

読書ネタと読書家ネタと百合とを同時に高濃度で供給する作品としては、このシリーズがぶっちぎりのトップランナーです。 毎回毎回読書しぐさで頷いたり笑わせられたり、神林と町田の関係性が深まっていくのをにやにやきゅんきゅんとしながら読んできました。…

ハヴ・ア・グレイト・サンデー 1-3 雑感

楽々居輪治は45歳でニューヨーク在住でありながら日本で小説家デビューし、20年後に実家を預かるために日本へと戻ってきた。そのリンジが住む家に息子のマックスと、婿のヤスノリが遊びに来て、週末を過ごす―― 65歳の小説家とその家族の日常を描く連作短編漫…

ゲームの王国 上・下 感想

クメール・ルージュによる革命が起ころうとするカンボジアで2人の少年少女が出会う。潔癖症で水浴びを繰り返すことからムイタックと名づけられた少年、彼は物事のルールを突き詰めて考え把握する性質であり、村でゲームや遊びで負けたことがなかった。革命組…

よふかしのうた3 雑感

14歳の少年・夜守コウが吸血鬼の少女・ナズナの眷属になるため恋をしようとする物語の第3弾。 前巻ではナズナの仕事を知り彼女の客と知り合ったように、今回もまた少し世界が広がっていきます。 一つはコウが眷属になれるタイムリミットの通達。長期を見据え…

ぼくらは都市を愛していた 雑感

神林長平氏による長編SF小説。 本作は情報軍所属の綾田ミウ中尉を視点人物に情報震によってデジタル情報が破壊され崩壊しつつある世界の東京を彷徨うパートと、かつて援助交際をした少女を未だに心で思う中年男性が公安警察官として体感通信の実験台にされな…

ビット・プレイヤー 雑感

イーガンの日本オリジナルの短編集。 作者への期待値を鑑みれば当然と言えば当然ですが、全体的にリダビリティの高いSF短編が揃っていて読み応えがありました。 以下それぞれに簡単な感想を。 七色覚 元々持つ3種類の錐体細胞に加えて、人工網膜を変容させて…

ハクメイとミコチ 1-8 雑感

森の中に住む小人や獣・虫たちの何気ない日常を描くファンタジー漫画。 買うだけ買って読んでいなかったのですが、読み始めると嵌りに嵌り、一気に読み進めてしまいました。 2人の小人・ハクメイとミコチをメインにしているのですが、徐々に森の住人たちの生…

淡島百景3 雑感

淡島歌劇学校合宿所――通称"寄宿舎"に集い歌劇団員を目指す少女たちを描いた漫画の3巻目。 今回は新興宗教を信奉する家に生まれた娘の葛藤を描く『大久保あさみ』前中後編、学生時代にトップを張り合ったライバル同士の奇縁を取り上げた『山県沙織と武内実花…

魔術士オーフェンはぐれ旅 第1部~第2部 雑感

率直に言って中高生時代はひねた文系オタクでした。今よりももっと本の住民で、もっと硬派よりだった気がします。そのあたりの貯金も今は尽き、オタクでもなくなり、だんだんとアホになっている感じですが、まあそんなもんかもしれません。 今回の文章にそん…

よふかしのうた2 雑感

夜に生きることを夢見る14歳の少年・夜守コウが吸血鬼の少女・ナズナと過ごす密やかな夜の物語の第2弾。 1巻で既に少年の心を見事に打ちぬかれたのですが、今回もまた相変わらずかそれ以上にキレキレの芸が発揮されていました。羨望するような夜への傾倒の強…

アクタージュ 10 雑感

かくして舞台『羅刹女』、サイド「甲」/主演「夜凪景」の舞台の幕が開ける―― これまで、それぞれが「怒れる」羅刹女に至るために、夜凪は自らの底に眠っていた怒りの源を掘り起こそうとし、百城はそれまでの自分を打破しようとします。 その上で演出家は悪…

吉原御免状 雑感

1657年のこと、宮本武蔵の弟子・松永誠一郎は遺言通り26歳で修行していた山を下り、吉原を訪れた。誠一郎はそこで徳川幕府の闇と、日本古来から歴史の裏に隠れ住んでいた民を知る。歴史を壊さんとする吉原の御免状を求める柳生との死闘を乗り越え、花魁の町…

ふたりべや7 雑感

高校生から始まった桜子とかすみの同居生活も6年目。大学2年の学園祭~大学3年の秋までを描いています。 就活が始まってかすみが黒染にしたりと変化はあるけれど、どんなときにもどんなところにも一緒に行動するのは変わらず、桜子とかすみの仲は緩やかに深…

裏世界ピクニック4 雑感

理解のできない恐怖をあおる異形と異常現象が跋扈する裏世界を女子2人組が探検する百合ホラーSFの第4巻。 片割れである鳥子の冴月を追う物語にひと段落つき、今度は空魚のパーソナリティを揺るがす恐怖が多くなっていました。 くだん、平ぺったい手をした隣…

ゆるキャン△ 9 雑感

伊豆キャンの後半編。 黄金岬、三四郎島のトンボロ、大室山といったジオスポット巡りや、いつものようにキャンプご飯を囲んでつつきながら皆で過ごす――嬉し楽しの冬キャンの光景はいつまでも眺めていたいと思いたくなる幸せそうなものでした。 似たようでも…

安達としまむら8 雑感

この巻は安達としまむらが付き合いだした後の話であり、修学旅行に赴きます。 しまむらの一人称の語りが多いのですが、しまむらの安達への心理的防御がただ下がっているのをこれでもかこれでもかと見せつけられます。なんでもある程度は受け入れてしまうのが…

夜行 雑感

10年前鞍馬の火祭の日に英会話教室の仲間が一人失踪した。それ以降ばらばらになっていたが、ふとしたことから10年ぶりにその仲間たちが再度鞍馬の火祭を見に行くために集うことになった。その旅先の宿で、10年間にあったそれぞれの旅に纏わる過去が語り始め…

オーブランの少女 感想

独立した短編5編が収録されたミステリ短編集。 文庫版が発売されたのが2016年であり、今回2019年8月に購入してから4か月目にして読んだのですが、只管後悔しています。なんで今まで読んでこなかったんだろう、と。 OHPの紹介文に書いてあるように、少女を巡…

よふかしのうた1 雑感

深夜、14歳の夜守コウは静まる町へと一人繰り出す。ぼんやりとした理由で不登校になった彼は、そこで吸血鬼の少女・ナズナと出会い、彼女に恋をしようと願うようになり少し刺激的になった夜を重ねていく―― ジャンルとしては吸血鬼物の亜種にして、青春物のあ…

Fate/Grand Order-Epic of Remnant-亜種特異点3/亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負 2 雑感

英霊剣豪七番勝負の第2巻。英霊剣豪”アーチャー・インフェルノ"戦の決着までが描かれます。 描かれるのですが・・・相変わらずというか、前巻以上に作画カロリーがやばかったです。 読んでいて、なんなんだこれはと畏れが先にくるぐらいでした。 気の抜けた…

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。14  雑感

待ちに待って、とうとう来てしまった完結編。 好きなシリーズに関しては相反する感情を抱きがちで、作品が目指した美しい終わりを見たいし、延々とその世界が閉じずに物語を届け続けて欲しいとも、都合の良い希望を持ってしまいます。だからこそまあ、打ち切…