スターマイン 1-4 雑感

 流れ星に「彼女が欲しい」と願ったら、次の日に自分にぞっこんのヒロイン現れた。――ただし9人姉妹として。


 いわゆる一つの落ち物系のラブコメの一種ですが、最初から9人一気に落ちてくるところが賑やかでいい感じです。しかも個性の死んでいるキャラがおらず、誰もが活き活きとしており、かつ皆ひじょうに可愛いらしい。大きなイベントや起承転結がなくとも、彼女らが単に動いて喋るのを読むだけでもによによさせられます。
 そして話の流れとしては、9人姉妹と保護者の立ち位置のヒロインなどのプラスαの誰かが(複数ありで)メインになる回と、ほぼ全員が係わる回とがあります。いずれにせよ、9人の姉妹と一緒に暮らして起こる騒ぎを描くホームコメディのノリと、強い好意を抱き誰も選べない中意識し合うという付き合う前の甘しょっぱいラブコメのノリとが奇跡のように融合しています。家族ぐるみの付き合いをしながらふと恋愛の方向に振れたり、恋愛の方向にふり切ってから家族のようにふるまったり、何とも言えぬ居心地の良い雰囲気で満ちていました。この『居心地の良さ』というのはなかなかに得難い美点なので、高く評価するところです。
 ヒロインそれぞれを上げるのは煩雑なので辞めておきますが、きっと誰もを気に入りつつ、誰かを推すようになるのは間違いないでしょう。ヒロインの情報はwikipediaが詳しいというか、幾分詳しすぎるのでそちらを参照のこと>スターマイン (漫画) - Wikipedia。確かにネタバレですが、ネタが割れても十分楽しめると思いますので。
 個人的な一押しは叶得(かなえ)。ツン:デレ=8:2ぐらいの理想的なツンデレ。素直になれないときは否定的なことを言いながら(どう見ても本心とは異なると解るのですが)、感情的になったら好意が過分に含まれた台詞がぽんぽん出てきます。この、伝わってくる感情<好き>は同じながら、伝え方に二面性がある在り方のバランスがとんでもなくキュート。圧巻なのは第4巻P32からの一連の流れ。姉妹で真似しあうというイベントにおいて、他人に大好きという時、どう言うの?と聞かれたるシーン、そこで心を射止められました。最たるのはその叫び。

「何よ他の男って
 それこそありえないでしょ!!」
  (P33)

 いや、何を言っているのか解っていないのは貴女だけですよね、と。とんでもない熱量の好意なのでした。
 ……とまあ、私にとってのベストヒロインを述べてきたのですが、他の読者にはまた別の一押しのヒロインがおり、一押しのイベントがあるのだろうなあという感触です。読者にとって気に入った誰かが自然にいつの間にか決まっていそうなあたりが、バランスよく書き分けが出来ている恩恵だと思いますね。


 今後はおそらく打ち切りにならなければ、まだしばらく『未だ選ばない』今の状況が続くのでしょう。その誰かに決まらない停滞がマンネリになっておらず、何が飛び出てくるか解らない混沌になっているあたり、まだまだ続刊を楽しめそうです。


 以上。延々と続くラブコメ好きには超お薦め。

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