リリカルナノハ私妄想版:序・破 感想


    (リリカルナノハ私妄想版:序 総集編)
 題名通り、『魔法少女リリカルなのは』と『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』のクロスオーバー物。
 時空管理局特務機関NERVに所属する魔法少女たちが新劇の使徒と戦うのを只管描いています。
 ――と感想を書こうと文字を打ち込み始めたものの、実のところ、この一連のシリーズを評する言葉を私はあまり持ちません。
 めっさ格好良いし、むっちゃ面白い。
 シリアス中二物の理想。
 心に響く大傑作。
 そもそも私が二次創作漁りにはまるきっかけとなった名作であり、読み始めて7年以上が経つ今なお常に新作が出ないかのアンテナを張り巡らせています。
 口を開けば褒める言葉を垂れ流すことしかできませんが、出来る限り費やしてみることとしましょう。
 

 まず、使徒。まんまだった使徒がだんだんと造形がエスカレーションしていくのは目の快楽でした。
 とりわけ満を持して登場する破の『ゼルエル』に至ってはあれです、目で絶頂。詳しくは言えないのですが、封印艦隊と共に登場するゼルエルはもう本当に凄かった。

     (リリカルナノハ私妄想版:破 -IV(中編)-1)
 黒き破壊の姿、芥と消える魔法使いたち、増える瓦礫。――ああ、なんと甘美な絵であることか。


 そして相対する魔法少女とベルカ騎士らの戦姿もまた見事でした。
 たとえば、ただただデカいハンマー、対城塞級・グラーフアイゼンだったり。
 魔導士が乗り込むロボット・ガジェットアローンだったり。
 ロマン回路がギュンギュンと回るガジェットが活き活きと躍動します。
 ただお話の主役は彼女――白い悪魔と呼ばれた、魔法少女・なのは。彼女が使徒と戦うのがメイン。最初は当たり前のように吹っ飛ばされます。単身にて巨大で強大な使徒に叶う術など当然ありません。しかし次第に魔法の改善により、単身にて使徒を屠るようになっていきます。
 そして置いて行かれる片割れである、運命の少女、フェイト。己の単身での力の足りなさに嘆き、なのはの背をおいかけるため、ガジェットアローンに乗りこみ、使徒へとカチコもうとします。


 だから、彼女らの選択/闘い方に代償がないはずなんてなく。

 さあ お迎えの時間です。
 貴女の望み通り これからは失う時間ですわ。
     (リリカルナノハ私妄想版:破 III(前編))

 色々なものを踏みつけて傷つけて、自らも傷つきながら彼女らは戦っていく。
 ――使徒を斃す。
 ただそれだけのために。
 例えそれまでの自分でいられなくても。そう強いられたからでもあり、そう選んだからでもあって。


 その過程の痛ましさと、輝かしさを御覧じろ。
 疵から流れる血の量が多ければ多いほど、流した涙が枯れ果てた時が遠く過ぎ去るほど、限界を突破せんとする魔法少女と星の全てを壊そうとする使徒との戦闘とは煌びやかに彩られていきます。
 繰り返しになりますが、その絵、その漫画を読むのは実に読む麻薬、何物にも代えがたい快感でした。
 中二成分や、裏のでの暗躍もまた良いスパイスになっていました。ああ、ほんとすべてが素晴らしい。

 
 恐らくはそこまでの数ではないでしょうが、万が一何も知らず、どちらかの原作を好きで、中二心を忘れていないのならば――
 この作品をまっさらにこれから読む経験に祝福を。
 

 以上。傑作。大好きです。

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