『ワイオミング生まれの宇宙飛行士』『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』に続いて発行された、ポストヒューマン――テクノロジーによって変容した人類を描いたSFを集めたアンソロジーです。個人的にテクノロジーによる変容というネタは大好きなことと、『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』よりも粒ぞろいであることから興味深く読めました。
以下が個別の感想となります。
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pub99 | スティーヴ・フィーヴァー購入。ポストヒューマン傑作選とか俺得 | 2010/11/28 10:24:57 |
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pub99 | 『スティーヴ・フィーヴァー』を「グリーンのクリーム」まで読んだ。「死がふたりをわかつまで」はクローン/再生を題材にしていて、「技術の結晶」は人体の機械化を題材にしている。どちらも古びていて面白くない。 | 2010/12/04 06:02:01 |
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pub99 | 「グリーンのクリーム」はロボットに意識を移すことを題材にしている。人間関係の変化に重きを置いていて、テクノロジーによる夫婦間の感情の誤差と最後のオチは『ハローサマー、グッバイ』の作者の短編らしいという印象。そしてやっぱり『ハロサマ』と同様好かないと思った。 | 2010/12/04 06:07:40 |
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pub99 | テクノロジーによって人間関係が変化することへの反対を一般小説的に描かれても流石に古典古典過ぎた。 | 2010/12/04 06:10:09 |
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pub99 | 次の短編はイアン・マクドナルドだから絶対面白いだろうと信じて読むか | 2010/12/04 06:11:23 |
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pub99 | 『キャサリン・ホイール(タルシスの聖女)』読んだ。流石イアン・マクドナルド。大変面白かった。狂女と火星最後の機関車の物語――過去と未来、地球と火星――を平行してファンタジックにSFに物語るのだから、没頭しないはずがない。ガジェットはよくあるものから見方と語り口が凄いんだよなあ | 2010/12/06 01:31:25 |
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pub99 | 『ローグ・ファーム』読んだ。複数の人間が融合した集合体が跋扈し、新しい脳と繁殖する土地を求めるという異形の未来を舞台にしている。肉がうごめく集合体の嫌らしさがよく出ていて悪夢めいた作品になってるけど、最後で集合していない人間の変異も記してひっくり返された。 | 2010/12/06 10:10:50 |
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pub99 | 未来をその時点の視点で書いて、今の視点からの評価をさせる短編としては上々。――だから巻頭の作品紹介は酷いネタバレだと思うんだ。 | 2010/12/06 10:12:55 |
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pub99 | 『ひき潮』読んだ。小児に特有の高次機能を失っていく病・DIMSにかかった子供を連れ、母は障害者の人間ロボット化が一般化した世界でどうするのか――という内容。痛切な題材でお涙頂戴ではなく、高いテクノロジーで選択肢の増えた人間の関係を描いている。ラストの選択の応えが胸にきた | 2010/12/07 02:33:32 |
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pub99 | 『脱ぎ捨てられた男』読んだ。意識をコピーして人工ボディに移すのが一般になった社会――ではコピー元のオリジンはコピーされたらどうなるのか、という短編。平凡に倫理的でこういう書き振りだとそうなるよなと若干退屈なものだった。『フラッシュフォワード』の先には進んだけど、こんなものか | 2010/12/08 01:42:57 |
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pub99 | 『ひまわり』読んだ。これは素晴らしい。脳の機能をオーバークロックするナノマシン<ナン>が発達した時代、テロによりばらまかれたナンで妻子を失った男は導かれるように実物のゴッホの絵に引かれていく――という内容。 | 2010/12/08 10:13:13 |
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pub99 | ナンによって世界があやふやになる描写は力があったし、分岐と可能性が見えてしまう悲惨も書けていた。またゴッホの絵、自画像や言葉も効果的に使われていた。特にオーバークロックされた脳が多くのひまわりを周囲に投射し、大輪の中に顔が浮かぶシーンはぞくっときた | 2010/12/08 10:16:28 |
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pub99 | nixさんのゴッホ展の記事を間近に読んでいたこともあり、イメージしやすかったのも良かったかもしれない | 2010/12/08 10:17:22 |
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pub99 | キャスリン・アン・グーナンか。名前を覚えておこう | 2010/12/08 10:18:16 |
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pub99 | 短編『スティーヴ・フィーヴァー』読んだ。ネズミ可愛よネズミ――というのは嘘にしても、流石イーガン、面白いナノテクSFだった。ナノマシンにより人間をコントロールするようになったラットの扱い――目的や人間への接し方――の書き様が実にシャープだった。 | 2010/12/09 10:02:30 |
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pub99 | 『ウェディング・アルバム』読んだ。意識を複製し<シム>として保存でける未来でのとある夫婦の意識の変遷の物語。かなり面白かった。前半は、意識を何時複製したかによって立ち位置が変わる、言わばワンルートマルチエンド方式で、それだけでも充分だった。 | 2010/12/10 11:08:34 |
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pub99 | しかし後半で超展開に至り、嗜虐悪虐のバッドエンドに流れ込む様は見応えがあった。確かに意識コピー物のきわめつけのひとつ――マスターピースだった。 | 2010/12/10 11:11:03 |
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pub99 | 『有意水準の石』を読んだ。シミュレーションか発達して脳内で機能ごとに会話し働き掛けるようになった未来、シミュレーションに人格を与えるよう主張する具象派にシミュレーションの権威たる<神>が反抗しようとする、という内容。脳内の会話、反抗の内容――タイトルの意味といい実に格好良かった | 2010/12/11 09:18:03 |
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pub99 | シミュレーションの上を見た無限の反抗という題材は好き過ぎるという話でもある。最初、神視点なのも新鮮に見られて良かった。『学校を出よう!』の宮野好きにお勧め | 2010/12/11 09:20:43 |
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pub99 | 『見せかけの生命』読んだ。未知の生命体が遥か過去に遠い星に創った巨大博物館を訪れる――というネタは大好きだけど、展開がやや残念。このネタなら使い方は違うけど牧野さんの方が良かった | 2010/12/11 11:11:13 |
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pub99 | という訳で「スティーヴ・フィーヴー」読了。気に入ったのを順に並べると、『ウェディング・アルバム』『ひまわり』『スティーヴ・フィーヴー』『キャサリン・ホイール』『有意水準の石』の5作。概して水準が高い短編が揃っていた | 2010/12/11 11:15:12 |
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以上。ポストヒューマンと言う単語に時めく方にお薦めです。
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スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)
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