あえかなる世界の終わりに 感想

 彼願から浮気してやってみると、するすると終わってしまったので、申し訳程度に感想を書いて見ました。

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 クラスメートにつきまとうストーカーの目的、2つのオンラインゲームに隠された秘密、主人公の家に飛び込んできた野良NAIPの謎など複数の事件が絡まる近未来サスペンス。
 9割方一本道なのですが、事件の中心から見放され育ち、無関係な存在として途中から関わり、ついには終わらせた――という主人公の物語として良く出来ていました。主人公の職業(CQショットの選手)、彼の家族と出生は勿論のこと、ゲーム内に出てきた大方の要素がきちんとまとめあげつつ、過去の人物の葛藤、神の名の解放の結果など組み込むのが難しそうな所はスルーという、限界を見極め、破綻をさせないようにされていました。
 ・・・・・・裏返せば分岐は怠慢であるのですがね。特に凪のなおざり加減には泣いた。


 あと要望を言えば、細部に遊びが欲しかった。CQショットの試合でマップを見せたり、オンラインゲームのインターフェイスを作るとか、そういう無駄に技術を費やして楽しめれば、積極的に誤魔化されてもいい気分になったかも知れません。


 絵は美麗なのですが、一枚絵には動きが感じられず、いまいちゲームに合っていないように思いました。システムは可もなく不可もなくという所。


 以上。地味でした。
 以下妄想。ネタバレも混じっているので反転でどうぞ。


 NAIPが解放されると自由意志を持つようになる、また外部から改竄できるようになると取れます。脳だけで生かされ、人間だった頃の意識を持つみなもと何が違うかと言われれば、実の所ほとんど違わず、この冷たい図式には少し感心しました。恐らくはみなもに対する死という解放と、NAIPに対する真の誕生という解放との対比によって図式は完成されるのでしょう。

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