アクタージュ 6 雑感

 卓越した演出家・巌裕次郎が危篤となり世間が騒然となる最中、彼が最期に手掛けることになった銀河鉄道の夜の一幕が始まった。物語が進むにつれ、役者の変化に合わせて徐々に波乱の舞台になっていく――


 銀河鉄道の夜の舞台の初日の終わりまでが収録されています。
 描かれていること――役者の在り方、表情と動作の機微、感情の変遷。ただの一幕、たった数十分に凝縮された濃度と強度。心中を描き、表出される演技を描き、あるいは心中を描かず、表情を描かない。
 そして、演劇を結実させる。
 凄い、としか言いようがありませんでした。
 その描きっぷりを御覧じろ。


 語りたいことは幾らでもあるけれど、ただ一つ取り上げるなら当然クライマックス/カムパネルラとの別れ。
 彼はこう告げます。

 僕もう
 行かなくちゃ
  (No.97)

 その後にただ只管に立ち続ける、カムパネルラ/主人公の存在感よ。
 あの意思の無さが死者であり、そして生者の鏡となり、生きる演技をするジョバンニ/阿良也の再生/新生となる。
 そこからNo.173となり、No.181となる、その流れ。
 お見事でした。


 以上。期待はしていましたが、期待以上の逸品でした。これからも更に素晴らしい景色を見せてくれると思うと、わくわくが止まりませんね。

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 <過去感想>
  アクタージュ 1-5  雑感