裏世界ピクニック2 雑感

 理解のできない恐怖をあおる異形と異常現象が跋扈する裏世界を女子2人組が探検する百合ホラーSFの第2巻。


 まず相変わらず怖い小説でした。
 根源的に理解ができない/したくない恐怖の絵面のどうしても生理的に嫌というラインを見事に文章にしていました。
 そして法則がありそうでルールを守れば対処できることが続いているので、追い詰められる中でそのルールをいかにして見破るのかという逆転への興味がつきず、謎解きへを求めて読み進めることになります。
 ただあまりにも対象が相互理解とかけ離れているため、安心材料となっている決まり事をいつか容易く逸脱してきそうというという緊張感が付き纏っている気がして、最後まで恐怖の格が落ちないのは流石かと。


 そしてここが超大事なのですが――百合度がおおいに増していました。
 わかりやすくなって露わになっているといってもいいかもしれません。

 上擦った声が出たのをごまかそうと咳払いして、私は言った。
「とっ、鳥子も似合ってる……きれい……」
 さらっと褒めようと思ったのに、語尾がかすれて、囁くような声が出てしまった。
 鳥子は微笑んで何か言おうとしたけど、急に口元を手の甲で隠してそっぽを向いた。その横顔が、赤くなっている。
   (裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト(ハヤカワ文庫JA)(Kindleの位置No.1252-1255))

 裸の鳥子と寝るとか、頬をむにむにされるとか肉体的濃厚接触もあるよ?
 あと鳥子も色々と迫ってきて、空魚への執着も見せるようになっているのが良きかなという感じなのですが、一番きゅんきゅんきたのはここ。

「共犯者はいや。絶対いや。やめて」
「なんで?」
「なんででも!」
 苛立った声を上げる私を、鳥子は不思議そうに見返す。
 ああ、もう。
 おまえが言ったんだぞ。
  (裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト(ハヤカワ文庫JA)(Kindleの位置No.2128-2131))

 続く2行。
 はー、めんどい、最高!


 以上。楽しみました。次巻も心待ちにします(この感想を書いている時点で出ていますが)。

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 裏世界ピクニック 雑感 - ここにいないのは