ジョン・ウィック 雑感

 彼の飼い犬をブチ殺したのか?
 イカレてるぞ

 復帰したのかと聞かれ、答えられなかったが――
 今 俺は元の自分に戻る

 ロシアンマフィアのドラ息子がとある男の家に忍び込み、犬を殺し、車を盗んで去った。とある男の名前はジョン・ウィック、引退した伝説的な殺し屋であった。彼は復讐のため再び銃を取る――


 アメリカの片隅で、殺し屋がロシアンマフィアをただ一人で相手取り鏖殺していきます。歩いた後には死体しか残らない。
 純粋無垢、虚無度1000%。恐ろしいまでに殺し屋アクションに淫した映画でした。


 ジョン・ウィックの粋なブラックスーツ姿、地下に埋めていた殺し道具、殺し屋が宿泊し館内では殺しを行わない掟のコンチネンタルホテル――というガジェット。
 柔道とカンフーとナイフとの肉弾戦と、遊びも容赦もない近距離ヘッドショットが吹き荒ぶ銃撃――というアクション。
 そうしたたまらない要素要素が非常にスタイリッシュな映像で矢継ぎ早に繰り出されます。ナイトクラブの入り組んだ建築物内への襲撃とか、教会を俯瞰したバトルとか、もう観ていてぞくぞくの連続でした。


 そしてなによりも、主役たるジョン・ウィックですよ。 ブラックスーツの合う立ちスマートな振る舞いや、全く何も覚悟せずに日常の連続で人を物として見るような眼をする瞳の黒さ、キアヌ・リーヴスのはまり役でした。 
 キャラの描き方も中二スピリッツにはたまらないものがありました。伝説の殺し屋ということで、暗黒社会の面々が皆知って敵対するのを恐れています。復帰することで増える死体の数と共にロシアンマフィアの親分が敵対してしまったという絶望を視聴者としても噛みしめることになります。何もなかった人間が持っていたものが奪われた復讐なので落とし所もなく、組織としては勝っても何にも得るものがないという虚無さが半端有りません。
 ただ数少ない親身に考えている者は表社会に引退で来た幸福さを胸に帰ってくるなと忠告するという関係性も良かったです。
 ひっくるめてオンリーワンたるアウトローを主役とする醍醐味を味わえました。


 以上。ザ・スタイリッシュ。観ていてアドレナリンが噴出していました。2が更に評判が良いので早くBDになってほしいところ。

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