1. スクリューマン&フェアリーロリポップス2
2. 六花の勇者3
3. GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン V
4. やましいゲームの作り方
5. デート・ア・ライブ6 美九リリィ
- 1. スクリューマン&フェアリーロリポップス2
1の時点で御伽噺と騎士道譚とを現代異能でチェーンナップされた快作であり、荒削りながら年間ベスト級でした。そして高まる期待と共に迎えた本作は、1の時点ではツユとも出てこない学園物としての要素を取り込み、荒削りで洗練されていないままに、更にとんでもなく面白くなっていました。これからまだまだ進化していくのかと思えば、もうぞっこんに惚れ込んじゃいますね。
ともあれ、『六花の勇者3』という極太なファンタジーの傑作と比較しても、上にもって来ちゃいます。文句なしに年間ナンバー1。
1の感想は→スクリューマン&フェアリーロリポップス 感想
2. 六花の勇者3
"付き従った姫に裏切られた騎士が魔族を殺して腹をまさぐりながら南東に向かったのは何故か"――という序盤で出てくる謎は物語を力強く推進させ、1・2で断片的に勇者の視点から語られた勇者陣営と魔物陣営との情報を思わぬ形に解釈しつつ、意外性のあるセカイ像/真実へと整理していきました。読む快楽を味わえる傑作。
2でややどうかな?と疑問を思ったのも束の間、完璧にクオリティを立て直しました。間違いなくオールタイムベスト級の名作の成立する過程に立ち会っていると思います。
3. GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン V
前作で王が心残り無く決意し、本作ではとうとう全世界が戦争へと雪崩を打つ――という流れ。
骨太な上に奇形的に情報がごてごてと貼り付けられた、質量共に膨大なシリーズ。性質が合えば、幾らでも・何度でも・どんな角度からでも味わえる、幸せな世界が広がっているでしょう。
4. やましいゲームの作り方
中年エロゲライタの精神が思春期の息子の体に乗り移った――という内容。中年エロゲライタの内面を極めてリリカルかつエモく書いている。流石奇才、荒川工という作品。
5. デート・ア・ライブ6 美九リリィ
落ち物系のライトノベルのお約束を突っ走っているシリーズ。何が凄いとは言えないのですが、随所で見られる展開にフックがあり、そのセンスが好きな作品です。
本作でも主人公に文化祭で女装させてメイド・バンドを組ませつつ、歌で他者を支配する能力の敵に立ち向かう――というべったべたな展開です。しかし能力が披露されてしまった際に敗北する書き様が素敵でした。今までの関係性が単なる数分の歌で塗り替えられ、何もかもがこぼれ落ちていった、絶望。物語に必要なまっとうな挫折であり、なおかつ読者に不愉快レベルまでにはストレスがかかりすぎない範囲に計算されていました。このライトノベルであることへの抑制はお見事と評価するしかありません。