Garden感想

 杜撰というか脳足りんの立ち絵管理、とあるヒロインの2回目のHシーンで別のヒロインのHCGが出現するという致命的なミス(絵里香ルート)、地の文での呼称の混乱、溢れる改行ミス&一字空け忘れ、鈴村ルート後半での絵里香の声の消失、etc。
 数えれば数えるだけ出てくる外傷はひとまず置いておいておきます。つまる所、何れ出る最終的なパッチを当てれば済むことに過ぎません。失った信用は2度と戻らないけれど。
 

 クオリティの高かったものに眼を向けて褒めてみましょう。BGMは文句無しに素晴らしく、CGも頭身低いが独特のぼんやりした可愛らしさがあります。キャラクタもルートが存在する絵里香、鈴村、小夜、桜子、撫子は単体でも魅力のある存在として描かれている上に、トノイケの繰り出す狂おしく甘いイベントの数々、心理描写としてのHシーンとその前後により危険なまでに魅力が高められています。結果として

きみがいてくれたら、それで。

 
 彼にとっての彼女、彼女にとっての彼としてなくてはならないと納得が出来ます。それに細かい展開に気にしなければイチャイチャ甘甘な恋愛ゲームとして最高級のものとなっています(正直撫子がデレた時は全て良しといいそうになってしまいました)。
 ガジェットに眼を向けても
  ホタル→水月
  瑠璃の犬(リリー)→ワンコとリリー
  散髪→さくらむすび
 というように遊びが効いています。


 でも。この形で良いのかと疑問に思わざるを得ません。魅力的なキャラクタが攻略できないのが残念とか、そういうレベルも含めて。
 一旦前作について言及すれば、水月では関係性の再構築、さくらむすびでは関係性の結論と、主人公が生きていく上で築き上げてきたものの意味を問うものでした。そして彼らのこれからに幸あれ――と表面上見せた裏で、親の世代も彼らの人生で築き上げたものがあり、理解できないけれども相容れないという可能性だけが示唆され、その2つの狭間で唯一無二に煌くものがありました。
 シナリオライタが自らの集大成と銘うったこの作品では主人公の関係性を完膚なきまでに壊し、本当に2度と戻らないものとします。(なお過去へ戻るとか、繰り返し世界だとかなれば別ですが、このライタがスーパーナチュラルな事象を起こす場合大抵の所現実レベルで見るとそんなに幸せになりません)
 で、どう処理するのかに焦点が置いたのですが、現段階では過去が痛みとなるならば、永遠に残るとしてもせめて新しい色で塗りつぶそうとなります。普通のゲームなら、満点の答えでしょう。けれどもトノイケ作品をやってきた身では、それで結論として良いのだろうかという疑問が止みません。
 だからこそ心を読むという瑠璃が鍵なのだと捉えました。彼女が主人公の想いの言語化/裁き/肯定/として機能することで、一人称の過去が2人の未来の結論として昇華され、綺麗にしまる、とか思いました。
 まあこれは非才の貧困な想像なのでシナリオライターの思惑には全く触れてはいないでしょうが、確実なのは現段階では足りていないものが確実にあるということで。願わくば全てが埋まった時に、問答無用のHappyendが訪れていますように。
 
 以上。思い入れが強すぎて冷静になれないものを強引にまとめました。

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