観てきましたので、簡単に感想を書いてみます。
- 映像
こびとのミクロの視点をジブリが素直に映像にすればそりゃあわくわくするに決まっています。
元々ある物――机やポットや釘などなど――がアクロバットな路程となり、小道具――テープや糸巻きなどなど――が見事な冒険道具となっていました。
また基本的な手ですが、人間の視点とこびとの視点とで猫や虫や植物の質感を変えることで、世界観の違いを現していました。小柄な少年が単に歩いただけなのにこびとからしてみたらえらい衝撃であることが、音と振動で伝わってきました。
このようにマクロとミクロの映像で魅せただけでも、この企画は成功しているのでしょう。
- ハルさん
マジ存在感ありました。普通の――多分普通のうっとおしいオバサンをしている筈なのですが、ジブリ過去作を見回してもここまでの怪人物は居ないでしょう。声優の熱演もあり、この作品の半分はハルさんで出来ていると言って過言ではない気がします。
- シナリオ
公式ホームページのストーリー紹介で
ーーー人間と小人、どちらが滅びゆく種族なのか
と描かれていました。確かに心臓を患った少年・翔と借りぐらしのこびと・アリエッティとの迂遠な交流を通じてそのテーマに触れるのですが、そこまで深刻にはならないというか結論は出ません。けれど触れ方がこれまでとは違っていて、ジブリにおいては異質な交流がそこにあったように見えました。
というのも、翔はこびとの行く末を予想しようとし、彼らの立場を想像して語ったのです。そこが結構、それまでのジブリ作品と異なっているんじゃないかと。それまでは登場人物は大にせよ小にせよ、己の考えを主張し、叫び、行動していた――生きていたように思います。彼らが生きた結果として異なる存在が同じ立場になったり、共通した答えをもったりしますが、先にくるのはまず行動でした。しかし本作では心臓を患うという翔にとってはのショートカットを元に醜悪な言葉が吐かれます。こんなことは今までありませんでした。
その為に、アリエッティの宣言/生きる!という言葉は強く響いたのですが。
や、記憶違いかもしれませんので与太話はここらへんで。ただ翔くんが酔った暗い台詞を述べ出した場違い感は酷かったのは確かです。
- 借りぐらしのこびと
超自然の能力がなく、良い子にしか見えない妖精でもない“こびと”が片隅にいる世界。それまでに捕まったこびとが皆無なのはおかしいと取るのは流石に無粋ですね。
- 音楽
良かったです。
- 総評
ちょこちょこ引っかかりましたが、面白かったです。素直に見るのが吉なのでしょう。
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