海が近い田舎町の高校生らをメインとした群像劇。
青春物としてポイントがかなり高く、最新刊の5巻まで一気に購読しました。
何が良いかって、空気が良い。
等身大の高校生たちが喋り合う時間の切り取りとして抜群に上手い。
(1巻 kindle No.63)
(1巻 kindle No.128)
から画面いっぱい吹き出しを使って自説を述べ合うちょっとしたディベートのノリとか勢いとか語彙の選別とか、時には引っ込みがつかなくなって後で頭を抱えて悶絶したり、一緒に自爆したり、よくわからないオチになって空白のふいんきになったり。
恋愛もあるし、友情もあるし、何よりも若々しさがある。
ふっとした時に零れ落ちる叙情も、時折無性に胸を掻きむしる激情も。
他の作品と格別した部分を指摘できるわけではありませんが、目の前で繰り広げられるその時間の使い方こそが青少年時代だ――というのが読んでいて実に幸せなのでした。
色々な所で矢印が乱れ飛んでいて、そのどれもが美味しいのですが、個人的にはやはり水木×百々瀬の幼馴染コンビが愛おしい。
世話焼きで騒がしい水木と幼いころからの付き合いでちょくちょく周りに冷やかされ嫌な顔をする百々瀬だけど、2人になった時の空気や阿吽の呼吸は誰にも真似出来ない――という感じで幼馴染度が激高。
(1巻 kindle No.145)
あっつい中歩いてきた百々瀬を労ってお茶を出す水木の図なのですが、受け取る百々瀬の遠慮のなさが素晴らしいんですよ。
2人の関係が<そういうもの>なのだ、と言葉を費やすよりも現れていました。
以上。大好きなシリーズになりました。心行くまで潮が舞う田舎町の風情を書き切って欲しいところです。
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