ハケンアニメ! 雑感

 辻村深月さんの小説はそこそこ集めているのですが、キャラクタ同士が繋がっていて読む順番に気を付けた方が楽しめるとどこかの感想で読んでから揃ってから何時か読もう枠に入ってしまっていました。
 しかし今回同作の映画を観て予想以上に面白かったので、掟破りですが原作として読んでみました。

 や、これまたかなり面白かったです。
 アニメ制作にまつわるお仕事小説としてディテールが細かく書かれており、それが良いんですよ。
 映画は分かりやすさ重視でハケンを争うのに視聴率の戦いがメインに据えられましたが、そこまで対決を煽りません。それぞれがそれぞれなりに真摯にアニメを作り(それは映画でもかかれておましたが)、アニメを観てくれるように盛り上げようとします。
 作る人――わがままな天才のお守りをするプロデューサ、若くして抜擢された監督の現場のままならなさの屈託。
 そこにアイドル声優との付き合い方や、フィギュア会社という造形との折衝や、東京から遠く離れた町が聖地巡礼で盛り上げようとして、アニメに直接関わるひとも関わらないひとも仕事の同士としてぶつかったり、理解し合ったり、助け合ったり。オーラスでひとつの頂点としてのお祭りに至るまで、最後まで楽しませていただきました。

 映画は映画で省略と取捨選択が悪くなくて良い繋ぎ方(祭りは観たかったですがいれちゃうと流石にテーマが取っ散らかっただろうから無しが正解かと)をしましたし、あれで興味を持って小説を読めばより作品世界への愛着がわくと、良い感じの相補性があると思います。


 以上。映画から入りましたが読めて良かったです。これを機に辻村深月さんの小説を読み進めていきますかねー

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