劇場版 ソードアート・オンライン オーディナル・スケール 雑感

 約一年後のゲームクリアまで、《吟唱》が最前線で活用されることはなかった。
   (劇場版特典小説『ソードアートオンライン ホープフル・チャント』、P93)


 VRマシン『ナーヴギア』で起きたソードアートオンライン殺人事件から4年、ARマシン『オーグマー』が流行り出していた。同時にARマシンによるRPGオーディナル・スケール』も、歌姫『ユーナ』の人気と共にアクティブユーザーに恵まれだしていた。
 オーディナル・スケールに旧SAOのボスが出現したときから、キリトとアスナたちはとある陰謀に巻き込まれていく――


 そんな訳で劇場版SAO観てきました。
 SAOに関してはそこまで熱心なユーザーではなく、ALO編までしか小説は読んでいませんし、アニメに至っては数話しか観たことないです。唯一例外的に『ソードアート・オンライン プログレッシブ』だけは漫画と小説共に追っていっているぐらいですかね。
 けれども、なんか劇場で映画観てみるかという意気込みでサイト見たら『虐殺器官』がいつのまにやら終了していたので、調べて評判が良かった劇場版SAOを選んだ次第。


 なので少しだけハードル高めで行ったのですが、終わってみたら満足度は高かったです。エンタメ的に結構面白かったと言ってよいかと。
 筋は王道で、派手な戦闘シーン・可愛いヒロインたち・劇場ならではの大仕掛けを全編リッチな映像で描いていました。そして仮想現実と現実拡張とがどう膾炙するのかどう住み分けるのかという作者が複数のシリーズで仕掛けているテーマや、アインクラッド編のリソースを遠慮なく使いきった贅沢な大盤振る舞いとか、作品への興味を湧かさせる点は複数にわたります。
 従い、丁寧に作られている上に間延びする時間はほぼなく、見ている人を飽きさせることはほぼなかったのではないでしょうか。


 後はそう、アスナの正妻力、正ヒロイン力に慄きました。
 SAOが『すごいあすなのおっぱい』でもあることは事実なのですが、や、マジでこの劇場版でのアスナさんは凄かった。可愛いし、格好良い。失われるヒロインだし、颯爽と敵を倒すヒーローでもあるし。
 それになによりビジュアルがやっぱり最強。ボリュームのある編み上げた髪型が大変よろしい。
 あとまあ、すごいあすなのおっぱい。――シャワーシーンの熱いシャンプー推しは許さん。
 もとい、アスナさんの言動を追っているだけでも、なんだかんだで楽しめてしまうのは本当に根本の造形の勝利ですし、きちんと形に成しえた映像の勝利でしょう。

 
 最後にアインクラッドのリソースを使いきったことに関して。
 処理の仕方が本当に素晴らしかった。
 キーとなるのは恐怖。
 ゲーム内の死が実際の死に直結するVRの恐怖――SAO.
 ゲーム内の死が実際の心と体の痛みに直結するARの恐怖――OS。
 新たなるOSによって過去のSAOは悪い夢として塗りつぶされようとします。
 だからこそ、それ故に。
 オーラスで、本編では語られなかった100層のボスへと挑むことになります。
 そう、ボスへの恐怖を、死への恐怖を、ゲームへの恐怖を払拭するには――嘗て例外的に飛び越えたゲームの最高最悪の関門をゲームとしてクリアするしかなく。
 そして再度現れる、最強の『黒の剣士』。
 背後に流れるのは嘗て失われた歌。
 いやあ、何たる見事な、様式の美しさ。御見事な締めですよ。これ以上はない終わり方を見せてくれました。――ちょっとだけ寂しいですけども。


 以上。楽しめました。特典映像でARオフverをちょっとだけ見てみたいですね。

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 OHP-劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール- 公式サイト