ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 雑感

During the battle, Rebel spies managed to steal secret plans to the Empire's ultimate weapon, the DEATH STAR, an armored space station with enough power to destroy an entire planet.
  (スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望)

 この一文――デス・スターの設計図を盗み出した顛末を映画化した作品。
 監督はギャレス・エドワーズGODZILLA ゴジラ(2014)の監督であり、あの映画は個人的には最後の一シーンだけ心に残ることで忘れえぬ一本となりました>GODZILLA ゴジラ(2014) 雑感 - ここにいないのは
 なのでまあまあ期待して、初日のレイトショーを見にいきました。


 見終わった勝ち負けは五分五分かなと。
 何を期待していくかによるでしょう。
 スターウォーズらしさ――とは何ぞやからしてすっごい面倒ですが――を期待していくなら、たぶん9割方『これは違う』というフラストレーションが溜まった後に歓喜が待っています。
 面白い映画を見に行くのであれば――まあそもそもスターウォーズという名がつく映画に面白い映画を期待するのが筋違いではありますが――、ハードルは下げに下げた方が無難でしょう。


 展開は潜入をメインとした戦争映画によくあるパターンです。この惑星に行け、この人物に会え、このディスクを探せ、このボタンを押せ――FPSのようにミニクエストが連続して"デス・スターの設計図を盗み出す"までをかなりストレートに描き出します。その種としてはシーン間の繋がりが微妙であり、ストーリーテリングは弱いです。
 ただしキャラ造形がかなり秀逸でしたので、筋の陳腐さがある程度は救われていました。
 特にチアルートとK-2SOとが図抜けてしましたね。
 チアルートは盲目の僧侶ですが、ちょっと頭がおかしいぐらいフォースを信じているフォース狂です。ジェダイではありません。でも鰯の頭も信心からを体現しており、フォースを信じ切ることで力を使えない一般人の範囲で極限の技を披露します。そのフォースを信じ切った一般人と言う在り方と一般人の範囲で収まらない活躍がほんとうにイカれていて、格好良いんですよ。手に持つ杖と光線銃で成し遂げた戦果はリアルでふぁっと声を上げてしましました。
 そして本作のメインドロイド・K-2SO。帝国用のドロイドを反乱軍用に再プログラムしたのですが、そのせいで性格が歪み、本心を垂れ流すことになります。ある種毒舌キャラなのですが、メインキャラ達との掛け合いはかなり笑えました。
 特撮映像はまあこんなものかなといったところ。
 ひっくるめるとまあ光る所はあるけど、ちょっとしょっぱい戦争映画かなーと言ったところでした。……最後の10分程度までは。

「どこかに届いたかな」

 作品内で登場人物が懐疑を呈しにますが、その答えは既知のもの。
 彼らの決死の作戦は、デス・スターの設計図を盗み出すという1点において成功裡に終わります。
 では彼ら自身の顛末はどうなのかにおいて、なんというかもうびっくりするぐらいにエモーショナルなシーンを用意していました。
 星を壊す兵器に揺れる星、希望を送った宙の下、青い海を前に――。
 いやあ、照れるぐらいストレートでした。


 ここまででもその1シーンでお腹いっぱいになって見終わったことでしょう。
 でもそれだけで終わりませんでした。
 最後の最後。
 宇宙船の扉を切り開く赤いライトセイバーと、こほーこほーという呼吸と、――煙の中から現れるダース・ヴェイダー
 あれぞスターウォーズに期待する絵の極限の一つですし、スターウォーズの映画化として花丸を上げたい。決して使い方を誤ってはいけない、もしも少しでも瑕疵があればファンから八つ裂きにされる千両役者の使い方として最高の代物をみせてくれました。


 そんなこんなで、この2つのシーンによって見て良かったと思えました。
 終わりで最高潮に巻き返してくれれば、全て良しとするぐらいの加点主義者の戯言とお取りください。
 GODZILLAもそうでしたが、外してはいけない極めのシーンを外さないというのは映画監督としてかなりの美点じゃないかなと思います。後は面白いストーリーテリングを身につけてくれれば、最高なSF映画を作ってくれそう。今後の活躍に期待しています。
 
 
 以上。チアルートを主人公とした映画や小説が出てほしいですねー
 

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