パーフェクトフレンド 感想

 不登校の天才小学生は友達と、友達の作り方を知るために登校することになった――。

 
 トンデモですが、トンデモを成り立たせるための準備の周到さにどんびく怪作でした。
 友達定数"f=3/323018"および友達方程式の発見による人間関係の定量化および予想化を出来るようになったという論理の発見と、その論理に沿った友達を了解する努力の終了、そしてそこで省かれた寂しさなどの感情の自覚という流れはオーソドックスでした。以降小学生らしさへの回帰しても綺麗な終わり方ではあったのでしょうが、しかしこの作者がそんな方向に流れるはずなく。
 とある衝撃後に天才小学生は非現実的な現象<夜が延びて、死んだ友人が生き返る>に出会います。この現象そのものの描写の幽玄性を踏まえ、それを解体して露わになる現実の非人間さに目眩がしました。それを考え、それを成し遂げる在り方は人間ではないというのが正しい。

 コストをかければ可能なのだ。

 しかしまあ、この構造を考えつくのは兎も角、形になそうとするのが凄い。しかもアムリタがあるからこそ成り立つという、巻を重ねるという作品外の手続きは必要だったものの、悪くない形になったのがとんでもない。


 以上。大笑いするのか、壁に投げつけるのか、どちらかの反応に分かれそうですが、途方もない小説が読みたいならお薦め。

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