クダンノフォークロア 雑感

 クダンを目撃すると災いを予言するという伝説が流れる都市『九段』。九段にある女子高に通う朔夜は料理学校の先生・志摩塔子に出会い仲を深めていく内に、クダンを筆頭とした都市伝説に纏わる種々の事件に巻き込まれていく――
 
 
 という百合ミステリADV。
 都市伝説が関わった超自然現象が起きたように見える事件に対して主人公の九段朔夜が行き掛かり上解決役となるという形式で進んでいきます。異常な事件にどのような理を見出すのかが主眼であり、ロジック寄りのミステリとなっています。
 ミステリとしての特色はホワイダニットに偏りがあり、復讐の色が濃くなっているあたりでしょうか。そもそもなぜ人を害そうとしたのかという動機にそこまで種類はないのかもしれませんが、敵対行動を取ってしまうようになったきっかけに三分の理が用意されていますし、そこにも道理があったのだと解決役の朔夜は見つけていきます。だから事件の謎の解明だけではなく、その解決/事態の調整の方がより困難であり、より重きを置かれるイメージでした。つまり、日常は続いていくし、被害者と加害者が一緒に生きていくのをどうさばく――裁くのではなく、捌くのか、と。
 そうして事件を重ね、八つ当たり気味から同情を誘うものまで体験し、超自然的に見える事象にも種があると解明し、最後にして最初の事件に向けて緩やかに収束していきます。
 このあたりの流れは自然ですし、思考を上手く誘導されたかなーと思います。
 なにせ最終的にはメインキャラの心情を汲み取るのに直結しました。復讐が成ったと取ってどう生きていくのか、復讐されるべきだったと知ってどう生きていくのか、或いは――或いは全く的外れなのか。
 無茶苦茶興味をそそる事件がある訳ではなく、秀逸なロジックがある訳でもないですが、ミステリとストーリーとを破綻させずに丁寧に積み立てられていました。
 ・・・ええまあ、正直、ラストの主人公の夢の真実に関してはふざけんなと思いましたが、良いでしょう。


 そして百合。
 所々男役的なニュアンスに気になる所はありましたが、個人的にはそこそこ楽しめました。基本は爽やか系で、ホテルのプールに遊びに行くとか、海に焼肉とか、素晴らしいCGと合わせて記憶に残るイベントになっていました。
 あと幼馴染は結ばれない魅力的なキャラを狙ったのでしょうが、まんまとその策に嵌りました。BADでも良いので、彼女のルート欲しかったですねー


 プレイ時間のボリュームは少ないですが、ミドルプライス相応かなと。
 ビジュアルがかなり美麗で満足度が高かったので、作品トータルの質の評価はその分上乗せしたくなりました。


 以上。まとめると、ぼちぼちでした。

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 OHP-クダンノフォークロア - sukerasparo