森の中に住む小人や獣・虫たちの何気ない日常を描くファンタジー漫画の第12弾。
これまでも小人の目から見たサイズの違いを活用しきった造型の見事さとか、流れる時間の楽しさの描写の上手さとか、褒めちぎってきたのですが、今回もまた最高でした。
文章を読んで空想した味のサンドイッチを作ろうとする試行錯誤の果ての胃をつかまれていたといういちゃいちゃとか(このストーリーで風呂に沈む絵がまたすばらなんですよ!)、喫茶店でお茶をするのに勝手にハードル上げて七転八倒する話とか、良いねえ良いねえとによによと読み進めました。
そして個人的にこの巻で最もツボだったのは第91話「宿と地のもの」。
ハクメイが出張した田舎町にミコチがついていくミニ旅行の話で、行き慣れたハクメイにとってはなんにもない土地だけれども、初めて訪れるミコチに連れられて歩くことで意外な姿を目の当たりにしていく――という流れ。
(kindle No.27)
飯屋なんかねえぞーと言いながらも食べるものがないかと探しに出て、ミコチが漬物の匂いをかいだことからあれよあれよと特産と言えぬまでも地産のものが手に入るわらしべ加減にふふっと笑い、狭い部屋に並べて戦利品をきこしめす旅先の小さな贅沢に羨ましく思う。
(kindle No.33)
こういう情景を読んで、ああ、いいなあ、この作品本当に好きだと、思い直すわけですよ。
以上。お薦めのシリーズのお薦めの最新作でありました。
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