また夏が来る。期末テスト・海水浴・ラジオ体操etc、友達とやることは尽きず、そして新しい交流関係も増えていく――
前の巻を読み終えた時から出版される日を指折り数えてきました。待望の新刊です。Kindleで発売されると同時にむさぼるように読みました。
今回は只野くんとのラブコメのノリは抑えめで、尖った友人たちとの騒がしい学園生活や古見さんがちょっと頑張る日々を描く日常色が強かったです。ただこれまでもラブコメだけがメインという訳ではなく、名は体を表す一癖あるキャラを動かすのと良い空気を生み出す手つきが素晴らしかったのですが、今回も当然そうでした。
他愛ないコメディも、何気ない時間推移だけでさえも読んでいて飽きることがない、これぞこのシリーズという空気を楽しむことができました。こういうのを読みたいから、このシリーズを読み続けているのだし、きちんと答えてくれているのに感謝したいです。
そしてまたまた新キャラも良い味を出していました。
本巻は2人出てくるのですが、後半でメインを張る少女の方が非常に良いものでした。
名前は、夏木戸澪。
名は体を表すように、懐かない小学生の女の子です。
澪が古見さんの家にしばらく泊まることになり、放っておいて欲しい彼女に対して古見さんが積極的に関って仲良くなろうとするすれ違いコメディラインでお話が進んでいきます。
このあたりのコメディが実に秀逸でにやにやが止まりませんでした。
すんとしながら奥底に寂しさを隠す澪と、いっぱいいっぱいになりながらコミュ障の挙動不審さと優しさが併存する古見さんとのシナジーが見事。
ここから数ページ後の寝息のセッションの、なんと平和なことか。
けれども、この巻ではまだまだ澪との関係は序の口です。澪が古見さんの日常に更に組み込まれ、体が名を裏切っていく――懐き0ではなくなる――のを心待ちにしたいと思います。
以上。相変わらず期待以上に楽しませてもらいました。また新刊を待つ日が始まります。
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<過去感想>
古見さんは、コミュ症です。 1-8
古見さんは、コミュ症です。 9
古見さんは、コミュ症です。 10
古見さんは、コミュ症です。 11