ドリフターズ1 感想

 死を目前に異世界に飛ばされる偉人・英雄たち。彼らは漂流物〈ドリフ〉或いは廃棄物と称され、とある目的の為に集わされたのだった。世界を守るためか、滅ぼすためか――


 偉人・英雄たちを作者独特の癖のある登場人物に翻訳し直し、作品の物としています。戦国最強のサムライ・島津豊久は首を置いてけと武張り、第六天魔王織田信長は威張り、弓の天才・那須与一は見事に中性的な美男子です。そして話が進むにつれて、段々と出揃う漂流物と廃棄物のどれもこれも、誰もかもが良いキャラをしていました。


 そして彼らが活躍する戦場描写は相変わらず圧巻でした。例えば軍団。ファンタジーの産物に近い廃棄物たちが率いられる、竜やゴーレムが列をなす――悪の軍団。

 御親征
 御親征
 耳アル者ハ聞ケ
 目ノアル者ハ見ヨ
 口アル者ハ吼エヨ
 全テヲ伝エヨ

 という平野節が炸裂して、現れる軍団の絵と言ったら素晴らしい所の騒ぎではなく、これこそが見たかったと感動に打ち震えました。対される漂流物のあくまで彼らの元の力に基づいた戦闘描写もまた良く出来ていました。これが第1巻であり、これが顔見せにしか過ぎないと考えると、これからどうこまで発展するのか胸がドキドキして止まりません。


 そう、これから。廃棄物たちは結束して進攻してくる――これはもう定められたように描かれます。しかし、漂流物。彼らはバラバラであり、目的を知らず――或いは目的を持ちえません。そんな彼らがどう反抗するようになるのか、そしてどのように反抗するのか、非常に楽しみです。またどんな偉人。英雄が増えるのかも見物という所。


 以上。問答無用に面白かったです。次巻は待たされるでしょうし、完結も遠い先なのかもしれません。しかし待つ甲斐は必ずあると信じられる面白さでした。

  • Link