Liber_7 -永劫の終わりを待つ君へ- 雑感

 繰り返す3日間で殺し合わされる異能者たち。彼らは生き残り、真相を掴めるのか――


 Lass十八番の異能サスペンスADV。

・この世界は7月4日から7月6日24時までの3日間を繰り返す。
・主人公は死んだ場合を除き次の週の記憶を持ちこせる。
・他の登場人物も主人公の能力によって書きこまれた記憶は次の週に持ちこせる。

 その枠組みの中で、殺し、殺され、徐々に真相に迫っていくというがおおよその作り。


 全体的にはイケてないです。
 まずラスボスと言うかある登場人物の伏線を隠そうという気がないのが辛い。流石にあの御飯はいかんでしょ。もうちょっと上手く処理してください。
 中ボスに位置するキャラの浮きっぷりも辛い。もうちょっと捻れなかったのか。
 真相も、えー↓という、テンションが下がるものでした。今更○想○実はちょっとセンスがないっすわ、と。

 
 にも関わらず、残念な一作と捨て置くには少し惜しい瞬間がありました。
 3人のヒロインが終わり、メインヒロインルートが終了。
 ……3日間を出られたけど、ヒロインとは別れねばならなかった。ゲームの進行に合わせてこれまでのセーブは消え、他のヒロインを攻略した残滓/開始画面の立ち絵も消える。
 ――あの一瞬はちょっと感心してしまいました。たまに見るADVの仕掛けではありますが、そうくるかーと。
 そして期待されているように、始めからを選び、慟哭のエンディング。
 いや、なかなかやるじゃん――と思っていました。
 そしてこれまでと同じ様なEDムービーに交じるノイズ。
 ああ、・・・・・・シュタインズゲートをやりたかったのねというのは、まあ許容できるところです。


 そこからの展開はびっくりの一言。本当に驚愕しました。……悪い意味で。
 最後の最後でそうだこのゲーム、異能戦闘物だったと気づき、トンデモ大戦へと突っ走っていきます。
 ――何でそうなるかなあ。
 3daysの前半と後半の解離を知っているプレイヤならそこまでびっくりしないでしょうが、もう少し物語に自省を来たしても良いのではないんじゃないかなと愚考します。


 そんなこんなで恐らくは全体的にセンスがないのでしょう。ただ中二的なノリを前面に押し出しながら、センスのあるADVを作るのは難しいのは確かでしょう。成し遂げたらすっごい傑作が出来そうなので、今後の活躍を応援します。
 

 以上。お薦めしません。
 なお、もしもこのゲームをプレイして食い足りなかったら、小説『ハリー・オーガスト、15回目の人生』がお薦めです。人生を何度も繰り返す体質の主人公が死ぬ間際に未来から世界の終わりが近づいてきているという伝言を受け取るというSFなのですが、リプレイ物のSFの王道を行きながら、敵との騙し合いのサスペンスで盛り上げ、物凄い着地を来たす傑作です。

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