幻影異聞録 ♯FE Encore 雑感

 現代東京の芸能界が舞台。表現力を意味する「パフォーマ」を人並外れて有する主人公たちは芸能事務所・フォルトナに属して芸能活動をしながら、この世界を侵略するミラージュと敵対していく――

 ATLUSファイアーエムブレムシリーズとのコラボRPG
 WiiUで発売された当初は評判が高かったようですがその時はWiiUを持っておらず、switchに移植された時には今思えばアホな判断なのですが露出が少なくなったことで反感を買ったという批判に気を取られてしまいすぐには買いませんでした。しかしXenoblade Definitive Editionが販売されたのを契機に、ニンテンドーカタログチケットでセット購入しました。
 2020年6月6日から初め、ツシマや古戦場に浮気しながら、10月3日にクリア。総プレイ時間は43時間ぐらい(サイドストーリー・EXストーリーは全てクリア・お使いイベントはほぼこなさず)。

 それでクリアした感想ですが、かなり良く出来たRPGで素直に楽しめました。
 ストレスの少ないシステム、判りやすく爽快なシナリオ、好感度の高いキャラたち、要素要素の歌やアニメの質は充分以上に高い、とほぼ文句なし。
 そりゃまあATLUSRPGシステムに、ファイアーエムブレムのエッセンス――どちらも好ましいと思っている自分なので、楽しめない筈もないよね、食わず嫌い良くないと過去の自分をどつきたい感じです。

 まず戦闘ですが基本はメガテン・ペルソナ系。ファイアーエムブレム系の相性システムも組み合わされ、他のシリーズと同様かそれ以上に有利不利が物を言い過ぎるぐらいに重要になっていました(詳しくは→今さら聞けない『幻影異聞録♯FE Encore』のバトルシステム。弱点を突いて追撃を決めろ! - 電撃オンライン)。
 有利を引けばセッションスキル・デュオアーツが発動し、2~10数回連続でダメージを与えられ続け、フィールドエネミーなら相手にあまり行動させずに撃破出来ます。不利を突かれると連撃を食らい続けて反撃する間もなくキャラが落ちていきます。
 パーティは3人ですが相性は個々人異なっていて誰かが不利をくらうとあっという間にパーティ全体が危機に陥るので、どのキャラとどの武器を組み合わせてどの順で攻撃をするのかとか考えないといけないのですが、メガテンほど組み合わせがないのとメンバーを行動時に自由に入れ替えられるシステムでシンプルかつ解がいくつかあるフレキシブルなものになっていたのはストレス軽減に上手く働いていました。
 ある程度捻りながらストレスのなさを両立させたシステムは良く練られていたのではないでしょうか。

 ここで戦闘システムに加わる演出もまた良く出来ており、世界観にマッチしていました。
 芸能界を舞台にした華やかな雰囲気で、人の眼を惹き人のプラスの感情を掻きたてるのが良質のパフォーマンス――だから彼らの、キャラクタの戦い方は表現力で訴えかけてきます。
 アドリブパフォーマンス・デュオアーツがランダムで発動すると数秒~数十秒の歌と演出が挿入されるのです。
 本来ならばせっかちな身なのでボタンで飛ばせるその演出は飛ばす筈なのですが、ついつい魅入ってしまうぐらいに引き込まれるものでした。発動すると嬉しい強烈な効果があったり、逆転の一手だったりするという点も有るのですが、戦闘行動を一つのステージとした魅せ方が巧みだったのだと思います。キャラクタとスキルの連動であり、そのキャラクタだからこそそのスキルが発動するのだし、そのスキルが発動することでキャラクタの本質が見え、またキャラクタ同士の関係が顕わになっていました。
 あとはセッションスキルのセンスが好き。
 


 サインが浮かび上がり、服装と武器が映える行動を取る。
 いやはや、ちょっとした戦闘が浮き立つではありませんか。


 シナリオは繰り返しになりますが、判りやすく爽快でした。
 何故現代東京の芸能界の歌手や役者がメインを張らなければならないのか――浸食してくる崩壊した世界が現代東京に求めたもの、そして何故表現力が敵を打ち払う武器となりながら敵に狙われるのか、自分のペルソナではないが相似の相方という存在について。
 これまたシステムとシナリオが上手く絡みついていました。


 キャラクタ。
 まずtoi8さんのデザインは素晴らしかったですし、3Dモデルも良質でした。シナリオが進んでいくと増えていく服装もデザインと色彩豊かで、RPGの戦闘時に良い目の保養になりました。シナリオ・戦闘・キャラのどれにも華やかさがあるのはほんと素晴らしい。なお、初めの話題に触れれば露出の高さは別に求められているものではなかったですね(露出してくれてもそれはそれで嬉しいですが、それはそれ)。
 また性格付けは皆ほぼ好感度高く出来ており、プレイし続けるのに引っかかるキャラクタはほぼいませんでした。一人だけ、サブキャラでオタクのトレーナーがややヘイトが高まる言動だったのですが・・・まあ一人ぐらいしょうがないですよね。
 個人的な一押しはKiria。
 孤高で格好良い歌姫として登場し、徐々に可愛い姿を見せてくれます。よくある素直に出せない二面性というやつなのですが、どちらも含めた凛々しい在り方がちょう好みでした。

 

 

 

 選択肢では好感度を上げる選択を続けたのですが、何故個別エンドがないん(いや、そこまでやり込みプレイしていないので判りませんが、ひょっとしてステージランクをMAXにすると入るんですかね・・・?)。
 あと引用しましたが、システムでSNSメッセージをキャラクタが送ってくれるのがこれまた良いんですよ。ゲーム進行に重要なある種システム上義務的ものだけではなくて、暇な時につい送るスタンプと1文2文。キャラクタがぐっと身近に感じる演出でした。しかもネームドだけではなく、コンビニの店員とかボカロPとかからもメッセージが来るのはほっこりしました。


 不満を言えば、ゲーム内で観たムービーをクリア後に特典として再度観られないことぐらいですねかね。


 以上。重ね重ね良質のRPGでした。

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 OHP-幻影異聞録♯FE Encore | Nintendo Switch | 任天堂

 

幻影異聞録♯FE Encore|オンラインコード版

幻影異聞録♯FE Encore|オンラインコード版

  • 発売日: 2020/01/16
  • メディア: Software Download