公開初日にIMAXで観て来ました。
既に十分に話題になっているので言ってしまいますが、画面に時間の順行と逆行を同時に映してスパイ映画を撮る――というあまり正気の沙汰ではないことを挑んでいました。
ただ決して難解ではありません。最初ははあ逆行弾の威力?という感じではあったのですが、本作における時間に関するルールを理解するハードルは高く設置されていません。何に基づいて何が起こったかを把握するのにも専門的な知識とか、飛躍のある閃きとか要りません。必要十分な説明はされています。
しかし説明されて理解できるとは言っても、どの時間・どの場面においても、時間の順行と逆行に関して正しくわかり続けるのは頭の体力がそれなりに割かれる仕事でした。一区切りのシーンで主体の人物と同じ流れはどちらであるかとか逆向きの時間軸がどう動いたとかなら容易いですが、長い時間で観ると逆行性の行動はどうなっているのか、全体像を逆行ルートだけから考えたらどういう観方になるのか、映画が流れていく時間に反した時間軸を構築しないといけないのですから。わからなかったことが繋がるのは快感なのは迷う余地なく頷くのですが、ここまで繋げるのを強いられるとお腹いっぱいという感じです。
面白かったのかと言われると――どうなのでしょう。
そりゃ好きか嫌いかでは好きです。
これぞノーラン的なものという、映像と音楽との視聴覚の格好良さは抜群。
スパイ物としては、訳が分からぬまま翻弄されたスパイが実は大物――という王道も好ましい(というかそこで捻られると多分非常に退屈な映画になっていました)。
時間物としては、最後の最後ですれ違っていた友情に気付かされるというロマンに撃ちぬかれますし、判ってるぅという極めでした。
でも1周目で諸手を上げて面白いと言えるかというと、個人的にはその判断をするリソースがちょっと正誤の理解にさっぴかれた感があります。2週目を観て、面白さは評価したいところかと。
なお劇場でパンフレットは購入をお勧めです。理論や時系列が文章を多く割いて纏められていました。
以上。纏めるとこういう映画も好き――となるでしょうか。
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