古見さんは、コミュ症です。 1-8 雑感

 美人で有名な古見さんは人付き合いが極度に苦手だった。平凡な男子高校生・只野くんにひょんなことから知られ、共に友達100人を作ろうという計画を進めていくことになる――


 というラブコメ漫画。
 題名で毛嫌いしていたので、評判は良かったもののこれまで手に取りませんでした。しかし今回Kindleのまとめ買いセールを機に読んで見ることにしました。
 そうしたら、もう嵌る嵌る。
 ラブコメの王道を堪能しました。
 にやにや出来る時間が長ければ長いほど良いラブコメだという持論があるのですが、この作品はとんでもありません。ツボをつくのが上手いというか、破壊力抜群というか、にやにやしていない時間はいつだろうという感じ。おっそろしいぐらいに読んでいて心を離してくれません。


 まず、古見さんのキャラが非常に素晴らしい。
 見た目清楚美人の極地なのですが、人と関わらなければいけなくなったら緊張でぷるぷる震え、仲が良くなった只野くんとも面と向かって素直に話せずノートに書いて会話します。最近だと『森田さんは無口』など、そういうキャラは例に事欠かないのですが、造形として完成度が高かったです。
(1巻、P20)
 そんな古見さんが只野くんと出会い、彼の嫌味のない察しの良さと人の良さによって徐々に仲良くなっていき、ゆっくりと彼女の奥に閉じこもっていた想いが表に出てきます。
 その表になる人としての愛おしさが、やばい(唐突な語彙の消失)。
(7巻、P118)
 じれったくなりながらも、確かにほころびを見せる鮮やかな華。
 読んでいて堪らん気持ちがわかりますか! もうオレ、震撼ですよ!!


 そして青春、或いは幸せな学生生活。
 出てくる登場人物は奇抜なのですが、皆(若干一人疑問符がつきますが)根が善良。すれ違いはあるものの、大きな破滅なんて起こりません。
 だからこそ只野くんの人の良さだけで人物関係が広がっていくような世界の狭さはなく、古見さんがちょっと積極的になった時には手を取ってくれるキャラクタに事欠きません。
 そのサブキャラの造形も上手く、8巻に至って新規に出てきた古見さんと共に一緒に修学旅行を回るようになる2人の女子高生も良いキャラをしていました。
(8巻、P116)
 細かいことは言いませんが、いや良く作るよと感服。きっと今後彼女らは物語に上手く組み込まれていくのでしょうし、これからの新しいキャラたちも必ずや良い味を出すのだろうと信頼出来る手付きかと。
 そうした友達――同じ年代で同じ学校だからというだけで偶々逢って仲良くなった仲間との何気ない学生生活が、人付き合いの苦手なキャラの交友関係が広がっていく延長線上で描かれるため、かけがえのないものとしての輝きがより強くなっていしました。
(5巻、P180)
 くるくると踊る、楽しい時間。
 それが今だけだとしても、だからこそ尊いと作品全体で謳いあげていました。  


 極上のラブコメにして、良質な学園物。
 これ以上何も求めるものはありません。
 現在8巻で修学旅行が終わりきり良く、多すぎず少な過ぎない丁度よい分量です。未読の方でラブコメ好きなら、是非是非。


 以上。大好きなラブコメとなりました。今後も読み続けます。

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 OHP-WEBサンデー|古見さんは、コミュ症です。


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