――春になったら桜を見に行こう。
本来ならば桜は散っているにせよ季節は春に公開される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期し夏まで来てしまいました。
それでもようやく公開された最終章。これまで1,2共に舞台挨拶付きのを観てきたので、今回も初日舞台挨拶ライブビューイング付きのを観て来ました。
これまでの感想で褒めながら色々ぶつくさいってきましたし、今回もぶつくさは言いはしますが、まあそのですね、凄かったですし、素晴らしかったですね、ええ。
――信じられない。Fateに、泣かされた。
本映画で心を掴まれたシーンはまず2か所上げたいです。
1か所目は凛と桜の決着。
――――――あ、ダメだこれ。
その前に流れる、数秒の些細なオリジナルエピソード。にこにこしてワンペアを出す桜と、フルハウスを出すか迷う凛の幼い姿。
駄目です、これは。
殺そうという前にこんなんが脳裏によぎるようでは、お姉ちゃんです。
2か所目はイリヤが天の杯としてこの世全ての悪を内包する聖杯を閉じるシーン。
ここも多分オリジナルなのですが、もう反則。
イリヤが背後のシロウを笑って見やった後に、前を向いて聖杯へと向かう。
そして走っていった先に待つひと。
お姉ちゃんの顔が、子供の顔になって、幸せに笑う。
――あそこに辿り着いたら泣くでしょ。
それまで我慢していたのですが、流石に涙腺直撃されました。
あとは原作でちょお好きな「是・射殺す百頭」について。
率直に言うなら原作の方が好きかなーと。
「ついてこれるか」のニュアンスとか本当は発語しないとか、もう戻れない少年の背中の切なさにもうちょっと溜めが欲しかったとか、「お前が守れ」も口にしないとか、そこらへんは文章の良さなので仕方がないとは思います。
でもBGM:エミヤの入りが最強なので100点満点上げちゃいます。
なお戦闘の痕にイリヤを隠す絵面がわかったことは良かったですね。原作だとイメージが湧きにくかったですから。
セイバーオルタ戦。
おお悩まずさくっと逝ったなあと思ったら、舞台挨拶で声優さんは逡巡を入れようとしたけどもうそこでは悩まないのが奈須きのこ御大と監督陣の意図だと言われたと判明しました。
原作だと選択肢が出て大いに悩むんですが、まあここではもう確かに立ち止まってはいられません。良改変でした。
ただ、夢から醒めたような最後の一言は自分の中で判定が判れるところです。
「シロウ?」
倒された時に、そうセイバーオルタは正気に帰ったように呟きます。
聖杯に汚され、受肉し、最早最初に出会ったセイバーではないセイバーオルタが。シロウが一人でヒトとして臨みうる最高の奇跡を起こして無意味な勝利をしたあのifでも、逡巡したあげく刺す直前までセイバーオルタの瞳で見上げていたセイバーオルタが。
解釈としてはありですが。
良し――とは言えないところがあります。
エンディング。
手を取り合って世界を巡る双子の姉妹、片手には魂の入った鳥かご――いやはや最後までロマンをぶっこんで来て好きです。
それ以降は言うまでもなく。
神掛かったタイミングで流れる「春はゆく」を聴いて、余韻にふけりました。
全体的には幸せな時間を過ごさせてもらったように思えます。
最後に舞台挨拶。
概ね良かったです。どのような意図の演出だったか、どのように指示されたのか、どのように演技したのか直ぐに判ってすっきりしました。
でも声優さんが纏まらないコメントを言い出すと大いにハラハラするので、やっぱり舞台挨拶は好きじゃない気がしてきましたね。特にイリヤの声優さんはほんとハラハラしました。中田譲治さんは流石にコメントが上手かったです。
以上。1-3章を通して傑作と言っていいんじゃないかなという評価です。現状ではこの3章が一番好きなので、時間をおいてもう一度劇場で観たいですね。
- Link
OHP-劇場版「Fate/stay night Heaven's Feel」Ⅲ.spring song
<過去作感想>
Fate/stay night Heaven's Feel I.presage flower 雑感
Fate/stay night Heaven's Feel II. lost butterfly 雑感