14歳の恋 1,2 感想

 本作の主役を張るのは14歳の男子と女子です。2人は立ち振る舞いから「大人っぽい」と言われます。しかし、その姿勢は実は見せかけのものであり、小学生の気分を引きずりまくっています。なので2人になった時だけは素を見せられ、小学生同士の他愛ない関係に戻れるのだった――というのが初期の立ち位置。
 ところがどっこい。
 始まりで男子と女子を繋いだ童心は、2人以外の前では被ろうとした「大人っぽさ」によって早々に打ち砕かれます。それは考えるまでもなく、当たり前のことで。彼らは確かに小学生では無かったのだ、と。そう、確かに感じるのです。例えば出っ張ってきた喉仏とか、例えば長い髪をかき上げる仕草とか。成長した身体を、成長してなかった心が理解していきます。――もう中学生なのだ、と。
 それでは、2人になった時だけの世界は、これからどういう関係になるのでしょう。
 
 「どうって」じゃねー、こんちくしょう
 もとい。
 羨ましい。
 そうして、男の子と女の子は小学生から中学生になり、恋を育み、更に心と身体の成長を遂げていきます。
 うなじを見せた髪型を見たら、ついうなじにキスします。うなじにキスします。大事なことなので何回言えばそうなれるのでしょうか、というのは兎も角、きゃーという感じの赤面うなじキスでした。
 あとあと、
 
 私の番だってよ。何のって、足にすることと言えば、ええ、足にお揃いのミサンガをつけることですね。
 そんなんが山盛りです。
 恐ろしいことに、こうした素朴な肉体的接触を小学生から中学生への精神的な転換を果たしたばかりの子たちにさせることで、よりいっそう心が発達していくのをむちゃくちゃ巧みに書いています。少し前まで小学生レベルの思考が肉体的接触を経て、精神的発達を介し、Likeが大きくなっていく、その眩しさをまっとうに描いちゃってます。
 全体を通して実に胸きゅんとしますが、裏では私の心がギュンギュン締め付けられるのはどうしてなんでしょーかね。


 以上。読まないと勿体ないですが、読むと心のHPが減ります(断言。超お薦め。

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14歳の恋 1
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水谷 フーカ
白泉社
14歳の恋 2
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