1. ヴァンパイア・サマータイム
2. 後宮楽園球場
3. ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 3
4. うちのメイドは不定形2
5. ログ・ホライズン7
- 1. ヴァンパイア・サマータイム
睡眠サイクルの狂った少年と、吸血鬼の少女とのどストレートな恋愛小説。これ以上ないほどの瑞々しい肉感的なエロさが特徴として第一にくるけど、恋愛物兼青春物に必須なすれ違いの描き方も一級。主人公とヒロイン、どちらも最も望んだものは手に入れられない切なさに震えました。付け加えるまでもないですが、傑作です。
- 2. 後宮楽園球場
数多いる後宮の宮女がリーグ戦を組み、野球する。際物の設定をもとに、イロモノネタを横筋とした上で、野球小説として抜群に面白い。試合を決める二塁打を打ったバッターが二塁に立つ様を評して曰く、「野球の中心にいた。」。これぞ、これでこそという決めでした。
オールタイムベスト級の作品を2作同じ年に生み出した時点で、今年は石川博品の年だったと言ってしまいたいところです。
このシリーズは、迷宮とスキルとギルドの設定が練りに練られて、なおかつ物語が面白いという反則的な出来のダンジョンクエスト物です。
第3巻は第一部の締めくくりを飾るもの。無様に逃げた強敵・狂えるミノタウロスとの再戦。武を張る少年の背中に惚れろ――!としか。
※参考→乞う、ダンジョン探索小説 - ここにいないのは
- 4. うちのメイドは不定形2
ちびテケリさんが家事をして、あさひとツンツンする前半の日常ににやにやし、後半のSAN値が上がる冒険パートにわくわくする逸品。特にヒロインのあさひと盟友のような関係になって行く過程は心地よかったです。
- 5. ログ・ホライズン7
丸ごと一冊過酷なレイド戦なのだけど、いやはいや実に面白かった。楽しかった。傑作だった。
死ねば終わりのデスゲームとして一度こっきりの生き方を繰り返すプレイも生き難い、死んでもやり直せるMMORPGのプレイヤとして世界に生きるのも困難極まるのだ、と。つまりは何度も何度も死んで、死んで、死んだ過程をまざまざとみせつけられ、無駄な生き方で浪費した物資も乏しくなっていき、心が段々と折れていくシビアさに胸キュンでした。そして、そんな中で叫ばれる、とあるパーティへの憧れを胸にした想い。
「でも…楽しいと思ったんだよ」
これに燃えずして、何に燃えろと。