Violated Princess 雑感

 公爵家の次女・セレナは誘拐されたユニコーンを取り戻すために冒険者へと身を投じてしまう。世間知らずの彼女は騙され売られ汚され、世の悪徳が降りかかっていく――

 という感じの凌辱ARPG
 現時点で2万6千本を超えるスマッシュヒットとなっています。
 自分も発売日に購入し、その出来栄えに感動した次第です。
 や、バグ取りは頑張られていますがバグと不具合は多いですし、アクションゲームとしては単調ですし、メインストーリー自体に新規性があるわけでもありません。

 ただただセレナというヒロインを虐げることの容赦のなさが最高でした。

 本作は2部構成になっていて、1部の田舎町での冒険者としての出発するパートでは彼女の金銭感覚や見通しの多大なる甘さがあっても、敗北しても最後までされることはなく、サポートしてくれる姉御肌のキャラに救われます。冒険者ギルドの職員は難易度を気にかけてくれますし、情報屋は騙してきはしませんし、純朴な村人の友人さえも出来てしまいます。そしてセレナは性的な知識を学んでこなくて男女の営みに関してはとんと無知なのですが、友人の出産を契機として産むことの尊さと無邪気な赤子の暖かさも身に沁みました。
 それを踏まえた上での2部で大きな街へと赴き、彼女が本当の意味で独り立ちをし――もうどうにもこうにもにっちもさっちもいかないぐらい他者の悪辣な仕打ちに翻弄されていきます。騙されて借金をこさえ、身を売らざるをえなくなり、何をされているのか何をしているのかわからない性行為を積み重ねます。
 しかしそれでもなお、固い意思が揺らいでも、輝いていた瞳は曇りをみせても、健やかに育っていく筈だった儚い身体が醜くなっていっても、持って生まれて育てた高潔さを最後の最後まで手放さずに生きあがいてしまうのです。
 見事なドット絵で直接的に、またお前は落ちていて身の程を知れと下種から発せられる罵声の浴びせ方が一級の文章によって悪辣さに対峙させることで、セレナの折れない美しさが際立っていました。
 かつて尊い出産を目の当たりにして、赤子を抱いた――いま図らずしも産んだモンスターの子供が自分の乳を吸っていて、泣いてわめく育児は大変で、返せない借金で慣れない仕事をしながら疲弊していく。そんなこと序の口の手を変え品を変えの絶望が数多に用意されていているからこそ、プレイして今度はどんな風にいたぶられるのかという期待が高まるばかりでした。
 
 それにしても家系図を汚す――という発想のおぞましさよ。

 

 

 これ以上ないぐらいに代わってしまった、彼女が栄光たる家のとどのつまりなのだと知らしめる、最高の絵解きではありませんか。


 以上。一人のヒロインを追い詰める作風としてオールタイムベスト級の出来かと。好き嫌いは間違いなくわかれますが、個人的には非常にお薦め。

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 Violated Princess