神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト 上・下 雑感

 川上稔氏による新シリーズ。
 大先端の時代<EDGE>を舞台とし、住良木・出見が唯一の人間として神々と共に惑星をテラフォーミングをしていく――というのが大筋。本作は1巻目であり、シリーズの世界観の怒涛のような説明と、主人公側のキャラクタの顔見せの色合いが強いです。
 それでもこれまでの作品群と同様に主人公がバカで、バカがバカであり続けるために周りの人間がやれやれと力を貸していくことになるのも一緒で、いつものような川上ワールドを楽しむことができました。
 ただ違うこととしては『チャットノベル』という訳で、台詞の前にデフォルメアイコンが配置されます。これまでのカラー絵・扉絵・カバー裏・挿絵まで含めたビジュアルで小説世界を延長させる一環になっているのですが、川上作品のどのシリーズも大人数になればなるほど発言者がカオスを来たしていく(当然一人称と語尾で判断はつくようにはしていますが)ので、他のシリーズになっても続けてほしい仕掛けでありました。それに記憶を無くした状態からの回復をアイコンの度合いで示したり、表情を変えて見せたりとチャットノベルならでは工夫も決まっていました。
 小説をベースにした娯楽物として、古い酒を新しい袋に入れるのを含めて工夫を絶やさない姿勢はさすがだなあと。

 それと挿絵芸も相変わらず冴えていて、クライマックスの3連続は判っていても心が沸き立つものがありました。

 あとAR。
 あるいはデカパi――。
 そういったサービスも良いと思いますよ?

 以上。敵側のキャラクタが増え続けるとシリーズから振り落とされるので頑張って追っていきます(境界線上は全部読めていないっ!。

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 神々のいない星で(電撃文庫) - カクヨム