Angel Beats! -Track ZERO- 感想

 本作はTrack Zeroということで、アニメの前日談でありSSSの主要メンバーが集まるまでを書いてた連載をまとめたものです。それに書下ろしで『月曜日の未明2』が加えられています。
 あとがきで麻枝准

これを読んだところで
Angel Beats!』の謎は解けない
かもしれませんが(汗

 と宣言しているように謎を解くものではありません。彼らが集まって結束した――それだけです。各員の過去=その世界にいる原因は仄めかされるものの、仄めかしに終止します。ことここにいたって彼らの過去の詳細を語らないのは、そもそも語る気はないと取らざるをえません。
 ひとつの仮説として、ひょっとしたら作者にとってはキャラクタたちが自分が想像した世界にいるのは謎ではないのかもしれない、と妄想しました。ただ彼らがその世界で在るのに、語る必要が“今は”ないから語らないのでは、と。


 そしてまた、私が妄想してしまったのは一つの可能性です。第11話の何気ない台詞、

 ゆり「部屋に入らせてもらうけど、良い?」

 或いはかなでの部屋に上がったイベント――それまでの天使/かなでとの関係の意味の深化がありました。

「狭いわ」
ゆりっぺが不服を口にする。
「あなたが言い出したことじゃない」
と天使。

 その光景。強制でも部屋を訪れて、話して、卓を囲んで茶を飲んだ――私もかなでのパジャマを頭に被って笑いたい――かなでとの過去。そこでは別の選択肢の存在が澱んでいたのかもしれません。
 しかし。SSSの設立当初に散々関わらせて、その先にあったのは天使への敵対でした。組織としてあるための明確な敵の設置のために。だからこそ意味がなかった光景の妄想が――私の脳裏に輝いて刻まれました。
 ここで思い出したのは第10話で語られて結像した“ありえること”です。こうした可能性の墓場こそが読み解く一つの鍵になるのではと妄想しなくもないですが、まあ完結してから考えることにします。


 他の要素として、ギャグは相変わらずで好調(ガルデモ関連は爆笑でした)、だーまえの匂いフェチも全開しています。


 以上。麻枝准最高と言いたくなるAngel Beats!の過去を描いた“小説”でした。それにしてもかなでのパジャマを頭に乗せたい。

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