BIFRONTE 感想

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 孤島を舞台にし、新興宗教の影響が島全土を覆おうとする最中、突如として人が狂い殺人を犯すという事件が連続するようになったというのが大まかな設定です。
 よくあるような新興宗教が支配する島に“なりかけている”途中であるのが若干ユニークでした。また新興宗教の崇める偶像が木の葉を隠すなら森の中の論理を用いたものであることにもやや興味を引かれました。
 ……逆に感心したのはそれぐらいなのですがね。


 要素を組み立てる手腕が絶望的下手糞でした。主人公の父親、親友とその親の反目などの人物関係の書きようが断続的であり、大きな筋の展開の邪魔になるとフェードアウトします。全てが筋に関わらなくてはならない訳ではないのですが、座りが悪く、物語の厚みになっていません。というか彰さんがあれでマジにフェードアウトしたのには驚きました。
 新興宗教の公的機関に対する影響も行き当たりばったりでした。


 加えて後半の主人公の行動が異常でした。流されるは、KOOLだはと、実にENDINGの方向に沿った不自然な行動を取ります。流され方はエロゲのキャラとしては正しいのかもしれませんが。


 エンディングはやや尻すぼみ感がありました。ただし現在OHPでアフターストーリーが公開されています。今後もその形で補完するのかもしれません。
 気になったのはEND全てに共通する新興宗教を終わらせたとある行動です。極論すれば現実的には有用かもしれません。サスペンスとしてもありでしょう。しかし、宗教の解体は意図されていない行動(単なる私怨)とは言え、システムを壊すのはテロルしかなかったというのは寂しい気がします。個人的にもう少し頭を使った解答が好みということもありますが、別のヴァリエーションが見たかったです。


 絵は椎咲雛樹。私にとってMinDeadBloodの印象が色濃いせいで、シナリオに過剰な期待を寄せてしまいました。

 
 音楽は鑑賞で作曲者のコメントが読めます。そういった趣向は好きなのでもっと増えて欲しい所です。

 
 以上。もうひと踏ん張りすれば質が劇的に変わったかも知れず、残念に思いました。次回に少しだけ期待します。

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BIFRONTE~公界島奇譚~
BIFRONTE~公界島奇譚~
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LAPIS BLUe. (2008-05-23)