神のみぞ知るセカイ7 感想

 表紙絵で一目瞭然ですが、取りも直さず言って置きたい。
 ――小学生・桂馬が可愛らし過ぎます。
 意志の強そうな顔と瞳、それでいて児童な体つき。完璧です。作中では桂馬の過去が語られるのですが、どんな時でもその場の状況を即座に理解し最善な行動を取れる冷静さを持っていて、にもかかわらず外見はとびきりの美小学生――きゅんときました。
 桂馬の魅力を示す具体的なシーンで言いましょう。桂馬は昔からゲーム好きで人と関わるのを避けていて、夏休みの構内キャンプ時も人目を避けて船に乗ってました。すると突如として揺れ、気づくと船は何故かボロボロになっていて、周りは海で囲まれ、向かい側の浜には誰もいなくなっていました。そんな状況となると小学生ではパニックになるのが当然なのに、満ち潮かと過程を立てて状況を把握し、船が古くなったという不可解な事実は保留し、一旦待つという穏当な結論に達します。一時間経っても何故か誰も来ない、そしてここが上手い所と取ったのですが持っている携帯ゲーム機を濡らしたくないから泳いで渡る選択肢は潰されます。今までの積み重ねがあるから正当な順位付けであり、条件の潰し方として良いなあと思った訳です。それで背後を振り返れば、船の横腹に何処へ続いているか判らない暗い穴が開いて――
 という感じに調子よく進む流れが好きですし、繰り返しになりますが、そういう流れにする美小学生の桂馬が好きです。
 
 
 閑話休題。本作の内容は昔に少しだけ交流が合った幼馴染みとの再会であり、シリーズの転換ともなっていて、ほぼ一冊まるまる使った長丁場になっています。
 漸く来た幼馴染みキャラも神である桂馬からすれば精度に欠けていて、称して曰く“一方通行幼馴染み”とされるのですが、まあ細かい所は本編をお読みください。一方通行幼馴染みとしての活躍は目覚ましいものがあり、桂馬の一挙一動にきゅんきゅんと反応したり、積極的になれなかったり、手品キャラだったりと、テンプレと言えども最高でした。
 シリーズの転換として、古い地獄が封印について詳しい話が明らかになったり、封印が解けたのは何故かという謎が浮かび上がり、また天界という新たなる対立軸が見えてきたり、桂馬と幼馴染みがかつて遭遇した現象は何かなどの伏線が多数張られたりします。作者後書きにあるように、シリーズがドライブし始めたのでしょう。
 

 以上。相変わらず面白かったです。今後の展開としては天界の人間で天然ボケ気質のクールなキャラであるディアナがつんつんしながら天理を桂馬とくっつけさせようとして、その内に桂馬に惚れていくようになる――そんなドリーミングな夢(二重強調)が欲しいと思います。

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