淡島百景 4 雑感

 淡島歌劇学校合宿所、通称"寄宿舎"に集い歌劇団員を目指す少女たちを描いた漫画の4巻目。

 これまで3巻をかけて華やかな舞台に立つことを望んだ少女たちの成功と挫折、希望と絶望が取り上げられてきました。少女たちのいまとかつての青春時代を語るものでもあり、当然楽しさもあるのですが、重苦しさもまた孕んでいるものでした。
 ただたまたまかもしれませんが本巻では全体的に少し空気が和らいで、これまで以上に軽やかになります。友と一緒に競い合っての未来と成功への渇望は変わらず、暗いところが減っています。
 この作品が年代記であるように時代の流れを反映していることもありますが、少女たちの努力によってもゆっくりとでも良い時代へと進んでいっているのです。

 (4巻、kindle No.34)

 (4巻、kindle No.37)

 前の世代に正しくあこがれ、いまこのとき自分たちが輝こうと努めて、次の世代はよりよくあるようにと慮る――これまでも確かに少女たちの輝けるいまそのときを良きにしろ悪きにしろ取り上げてきたのですが、ここに来て大きい年代でも小さな世代でも良いサイクルが回り出しているのを見るのは感慨深いものがありました。


 以上。悲しいことですが、次巻で完結とのこと。大団円を迎えますように。

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 <既刊感想>
  淡島百景 2 雑感
  淡島百景3 雑感