アマガミ シンシアリーユアーズ1 感想

 PS2を持っていないので残念ながら原作はプレイしていませんが、変態紳士の噂は音に聞いていました。特に奈須きのこ氏の名調子によるHENTAI解説は読んで心を踊らせました。耳を疑ったものの、絵の美麗さと合わせてそれが本当なら是非ともやりたいなあと思っていました。
 しかし待望の東雲版の連載を読んでもエロさは判りますが、変態さが伝わってこず、どんなもんかとよく判らなくなりました。そんな訳で今回、公式コミックの単行本化ということで改めて読んでみました。


 そして、噂にたがわぬHENTAI紳士を目の当たりにし、感動の渦に巻き込まれました。
 ようやく――ようやく変態紳士を眼にすることが出来た、と。
 その変態にして紳士である在り方は実に自然体でした。教室でミニスカサンタの妄想を脳内具現化して仲の良い同級生の少女に対してキスを迫る姿や、美少女と話していたら地続きで妄想に突入して「ケコケコケコーン」と言葉にならない何かを喚きながら抱きつく姿などなど、いつも全くぶれがありませんでした。時・場所・シチュエーションを選ばず、妄想に突入する様はまさに生き様そのものでした。
 正直に言って圧倒されました。こうしてコメディとして戯画化しながら、一人の人間の可能性として言動に無理なく昇華させたオリジナルの設定の妙の半端なさは凄い。尊敬しますね、変態紳士である主人公を。
 

 で、本作のバージョンのメインヒロインに選ばれていそうなのが、絢辻詞です。
 表向きは品行方正な委員長キャラに見えて、裏では下僕収集中という落差のあるキャラっぽいのですが、彼女の変態紳士による押され様がGJでした。詞が変態紳士を操ろう操ろうとして、あと一歩という所までは上手く行くのですが、最後の最後でスイッチが入り変態に流されて、そして地が出てしまって打撃してしまう――という一連の流れ。それは様式美なのですが、攻める側と攻められる側が両方共変わっているので、想像出来るからこそ実像を見たいという欲求が読んでいくうちに生まれてきました。
 簡単に言ってしまえば、裏表のある美少女が変態紳士に押されて張り巡らせた壁がもろくなるのって、良いよねーという話なのですが。大事なのは紳士という、思うように行きそうで、でも頑固である在り方で。
 そう。詞が疲れて寝ている所に変態紳士が謝りに来て、でも髪がキレイで匂いが良いから寝ているうちに嗅いで触って、それを明らかにした上でなお謝罪するなんてありえません。や、白眉だったのは疲れをとろうと胸を揉む辺りなのですが――、その行為のスルーのしようでハードル下がっているなあとにやにやしましたね。


 要は変態紳士、堪能させていただきました。
 絵は女の子を可愛く書けているので、何も問題ないでしょう。


 以上。変態紳士の意味を知りたいなら、お薦めです。しかし読む前にも増して原作をプレイしたくなりました。PSPかPCにでも移植しないですかねー

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 竹箒日記 : 2009/03