スキップとローファー 1-6 雑感

 石川県の田舎町に住む少女・岩倉美津未は高校進学を期に東京に上京した。頭が良くて自信家だがどこかしら抜けている美津未は代表挨拶をする入学式に遅刻し、先生にゲロを吐きかけてしまう。落ち込む彼女だが、しかしそれは楽しい高校生活の始まりの日で――

 女子高生・美津未を主人公とした高校生活を描くスクールコメディ。
 読んだ感触を一言で言うと爽快となるでしょうか。

 美津未が素っ頓狂だったり空気を読めないと言われるような行動を取ることで結果として美津未の裏表のなさと愛嬌が伝わり周囲の人々と仲良くなっていくのですが、その仲良くなり方が品性のある穏やかなコミュニケーションで好感度が大きかったです。どの登場人物も年齢相応の若さや幼さを感じさせるのですが、合わせて社会性と知性とを大なり小なり兼ね備えているという、良識の持ちようが良い具合に伝わってきました。

 そしてなにより、中心となる美津未の善性の描き様が素晴らしい。

 (スキップとローファー 1 kindle No.137)

 ポジティブでひたむき――彼女と一緒にいるとまっとうに面白おかしい日々を送れそうだという確信を持てるような愛くるしい在り方でした。
 美津未を気に入って集まってくる面子が悪いことをするはずがないし、美津未が最終的に間違った行いをするはずがないと読者として思えてしまえばもう負けです。その陽性さを享受し続けるしかありません。
 いやあなんというかある種、自分にとってこれぞ明るい青春物という権化でしたね。


 以上。ツボにはまった快作です。最後まで追っていくのは間違いありません。

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