9-nine- ここのつここのかここのいろ 雑感

 地方都市・白巳津川市において神社の神器が壊れて以降、少年少女たちに異能力が目覚めるようになった。合わせて自然発火事件・石像化殺人事件が周囲で起こり、主人公は巻き込まれていく――

 9-nine-シリーズの1作目。九條都ルートのみ収録されています。
 分量は有料体験版かなあという感じであまり良い印象は持ちませんでしたが、値段相応ではあるのかもしれません。
 基本的な設定の披露――アーティファクトと特殊能力・或いは並行世界について、また異常を探って特殊能力そのものの内容及び条件と限界とを導き出しその異能力者を回収していくのが活劇となっていくという導線を置いて、to be continued。現代ファンタジーの序章としては十分な出だしではありますが、あまりにも序章すぎるので単体では全体像を評価しにくいですし、評価するとすれば3000円ちょいで俺たちの戦いはこれからだをプレイし終えてどう思った?という質疑に対面することになります。
 そこは棚上げしてシリーズの設定を披露するのが1作目の役割で良し、後はエロゲとしてヒロインとの触れ合いを楽しめたのか、つまりは都というキャラクタの魅力を十分に引き出したかと言うと・・・どうなんでしょうかね。親しみやすくて倹約家の庶民的なお嬢様キャラ(なお家業の企業名が偶々ですがキャッチ―でした)とのドキドキする恋愛物――1ルート特化物は間違いなくそのヒロインに惚れさせないといけないのですが、そこもちょっと分量が足りない気はしました。

 工夫はされています。
 1周目はバッドエンド直行で、2周目でノーマルエンドを迎えます。1周目で起きたことは結構ゴアい(なのでラストのCGはもう少し・・・いや作品の趣旨が変わってきてしまいますか)ので、2周目でイチャイチャの多い桜色に染まりきちんと結ばれるのはひとしおの感慨があります。
 ただあまりにも何も解決せず、本当に結ばれただけで終わるので肩透かしなんですよねー。

 それでは私が全くこの1作目を評価しないかと言えば、そんなことはありません。
 和泉つばすさんの絵は相変わらず素晴らしいですし、かずきふみさんのシナリオはなんだかんだ退屈はさせませんし、ちょっとした動きをムービーで入れるエフェクトも悪くありませんでした。
 そして何よりもエロシーンというかエロ関連が良いんですよ、これが。初行為でゴムを用意せず無計画に中にされた後の描写が秀逸過ぎて、にこにこしてしまいました。
 終わった後のピロートークで主人公が無計画で御免と謝ってから、ヒロインはなんと能力を作動させます。

「試してみたいことがあって」
 左手を、自分のお腹へ。
 ぼぅっと、スティグマが淡く光る。
 なにを?

 ヒロインの能力は――"そこに在ると判っている物であれば目に見えなくても手に引き寄せられる"もの。
 つまりはまあ――隠された場所にある液体を手に集めることが出来るという訳で。
 純真で優しく恥ずかしがり屋のヒロインが真面目に能力を使って手を汚すのは、フェチ回路がぎゅんぎゅん回りました。判っておるなこやつと褒め称えたい。


 以上。取り合えず4作目まで買っているのでさくさく行きます。

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