良質な本読みネタと良質な百合を提供してきてくれている本シリーズ。
最新作の7巻では表紙からして渾身のストレートをど真ん中に投げ込んできやがりました。
それはさておき、まずは読書ネタから。
読書ノートに悩む話でどんな本を選びどんなコメントを残すのが自分らしいか――という読書家と高校生としての自意識の戦いが繰り広げられるのを筆頭に、早口で語られる初見の熱い想いを傾聴してににやにやする気持ちとか、読んだ本の感想からオチのない与太話を繰り広げるしょうもない時間とか、相も変わらずこういうの好きだというネタを享受出来ました。
(Kindle No.81)
4冊読んでぞっこん嵌ってこれからまだまだ多く残された他の作品を読んでいくのだけど、それはそれとしてたったいま沼の浅瀬に足を踏み入れたにわかの口上。これから言うのが照れるけど、まあきっときちんと受け取ってくれるという表情の機微よ。言い切った後の沈黙もまた甘美。
そう言いたい気持ちも、その言葉を聞きたい気持ちも、そう言える/言ってくれる読書友達がいる幸福も伝わってくる描き方が実に上手いんですよ。
そして、町田×神林。
これまでも町田が振り回し、神林が素直になれなくてつんけんしつつも、割といちゃこらしてきたのですが、本作はかなりの強火を呈してきました。
TikTok的な動画を神林に送る町田と、それを観た神林の反応よ。
本を飽きたとわめく町田への神林の行動なんてもうね!! これこそが高校生、思春期なのだというやり取りが最高!!!
良い、もっとやれという感じではあるのですが、ただ本作の最大の爆弾は『125冊目』の章で爆裂しました。
町田を神林の趣味に染めてしまった、【操った】と言う神林に、町田が返して曰く、「私が神林を操っているんだよ」。
言っている内容がわからなくてその意味に悩んで、
(Kindle No.122)
きっと神林は眠れないぐらいに悩んで出した答えであるお薦め本と、その一節。
あるいはその一節が答えだと確信する町田の表情。
ああ、なんて美しい――
以上。もともと好きでしたが、愛が深まりました。
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<既作感想>
バーナード嬢曰く。4 雑感
バーナード嬢曰く。5 雑感