アンデッドガール・マーダーファルス 1、2 雑感

 時は19世紀末の地球、産業革命によって徐々に数を減らしているけれど未だモンスターが人間に交じって生きている世界。青髪のふざけた半鬼半人の男と洒脱なメイドとが"鳥籠"に従い、探偵として怪異が関わる事件に首を突っ込んでいく――

 ミステリ作家による伝奇活劇。1巻では奇妙な設定の上になりたったフーダニットの純粋なミステリの態をまだなしているのですが、2巻において活劇としての側面が牙を向きます。
 これがまた面白いんですよ。
 虚構の人物――"灰色の脳細胞"エルキュール・ポアロ、"怪盗紳士"アルセーヌ・ルパン、"ベーカー街221Bの名探偵"シャーロック・ホームズ、あるいは"八十日間で世界を一周した男"etc、etc。
 モンスター――吸血鬼、名無しの人造人間、不死者、etc、etc。
 虚々実々混じった面々を動かす手付きが抜群で、外連味溢れる派手な場面から地味でも見落とせない伏線が入った日常の些細な描写まで、これでもかこれでもかとサービス精神旺盛にお話が盛り上げられます。
 小ネタの扱い方も抜群で、ちょっとした古典のキャラクタの取り上げも原典ファンにたまりません。
 あるいは不意を突くギャグの挟み込みも楽しく、とりわけ2巻での生首を使ったドタバタの痙攣的な笑いは悪趣味で爆笑しました。
 もう全編是面白い活劇なのだと言わんばかりで、ページをめくる手が止まらずあっという間に読み終えてしまいました。


 以上。続きが楽しみなシリーズの一つとなりました。お薦めです。

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