Fate/stay night [Realta Nua] vita版 雑感

 クリアしたので簡単に感想をば。
 PS2版はプレイしていないので、コンシューマー化したFateに触れるのは初めてになります。大まかな内容については今更言わなくても良いでしょう。PCオリジナル版からの追加要素とかシステムについてのみ記載することにします。

  • システム

 vitaカード版を購入したのですが、読み込みは全く気になりませんでした。ロード時間はカードとDLで差が無いと思います。それ以外の要素で購入を決めると良いでしょう。個人的にはPSPのADVではシャーシャーという回転とロード時間のせいでDL版の方が良いと思っていたのですが、差が無いvitaは素晴らしいと思いますね。神神神もvitaで出るようですし、今後のADVは全てvita基準で出て欲しいですね、・・・というか全体的にvitaに移行しないの?とうぐらいに未だ未だPSPで出ている状況はそろそろ勘弁して欲しいところ。グラフックが美麗で読み込みが無いという環境要因に引っ張られない状態で、ゲームを楽しみたいものです。


 ゲームシステムは取り立てて目立つところが無い普通のADV。
 PC版と比べて大きな変更点はフローチャートが追加されたことでしょう。攻略に役立つかは不明ですが、EXTRAで全シーン回想として使えるので、あの場面を再度見たい欲求を適切にかなえる良い追加だと思います。
 欠点はシーンジャンプが改悪されたことですね。チャプタージャンプは一応出来るのですが、PC版見たくそのシーン名が表示されないために、ジャンプを連続していると今どのあたりか把握しにくくなっています。あと見たチャプターをデフォルトでジャンプする機能が無いの良し悪しでしょう。長いゲームなのでデフォルトにして構わないと思うんですがね。
 それ以外に今ひとつと感じたのは画面表示ですね。vitaに合わせてワイドに出来るのですが、これは拡大して端を切っただけなので、仕方が無いとは言え好きになれませんでした。
 あと出来ればつけて欲しいレベルで望む改善点としては、CGギャラリーで壁紙に出来ると良かったですね。この格好良いCGを壁紙にしたいっいう欲求の行き所に悩みました。

  • 内容に関する追加要素

 PC版からの大きな改変点として、置換と追加で一つずつあります。


 魔力供給という名目のエロシーンの他のシーンへの置換は・・・・・・正直こう来るのか!と興奮する代物であり、素晴らしい改変でした。
 中でも特筆すべきはセイバールート。そこでは魔力供給のために、士郎の魔力回路の一部をセイバーに埋め込む移植術を行います。題して曰く、『竜の炉心』。竜――かのセイバーに魔力をもたらせるす化身っ・・・、という感じ。一言で言えば、えろう格好良かったです。惜しげもない演出効果により、厨二心が心ゆくまで揺さぶられました。竜って良いですよね。
 凜ルートでは、凜の士郎への感情を理解する上で描写が少なくてやや浮いていた"夕陽の中の高飛び"が、魔力供給のためのとある施行術により、彼女の視点から追想することになります。その為に、彼女の想いへの理解が深まる、良い使い方でした。
 桜ルートでは、桜に対してはまあそんなもんだよねという具合なのですが、淫夢がご馳走でした。凜&美綴ファン感涙かと。
 そんな感じに全体を通して、エロシーンを見事に置換していました。むしろ、これからPCをやった時にエロシーンを不自然に感じてしまいそうな・・・・・・


 追加は"Last episode"。全ての個別ルートを終了したときに出現する、セイバールートアフターめいたグランドフィナーレです。これを見たいがために、vita版を購入したと言っても過言ではありません。PS2版が出た当時は毀誉褒貶激しいというか、自分の観測範囲では毀の方が強いぐらいでした。しかし自分の目で見たいと思っていたので、ようやく願いが叶いましたね。
 で、見て思いました。
 これは綺麗な蛇足だ、と。
 奈須きのこは最初は入れるつもりは無かったけれども、武内崇からファンサービスのためにシナリオを追加して欲しいと言われ、追加するならセイバーアフターで一致した云々という経緯を何処かのインタビューで読んだ覚えがあるのですが、さもありなん。自覚して書かれたように、ファンサービスとしては満点です。夢の果てを奈須きのこ奈須きのこの文体で書いて、大団円となった――奈須ファンが求めるもので間違い在りません。シロウは良く歩き続け、セイバーは良く待ち続けたと、祝福する気持ちは当然あります。
 ただ、見果てぬ夢であって欲しかった――というのが一介の士郎ファンとしての偽らざる気持ちです。なんつーかですね、正義の味方になって行く摩耗を、存分に妄想して愛でたいんですよ!  そりゃですね、"呼吸が乱れるのは何年ぶりだろう”一人前でもなかったな"という心中での苦笑いでご飯3杯はいけますが、夢にたどり着くシロウはこう、形になって欲しくなった。散々妄想した後に、ふと自分の心の中でセイバーにあったらどうなるだろうかと心を飛ばすときにわき上がる仄かな清らかな想いは、こう、こうじゃないんだと・・・・・・。
 ・・・・・・要するに勝手で夜郎自大な度しがたいイチャモンを抱いた訳ですね、ええ。
 下手な思い入れが無ければ、これはこれで悪くない出来でしょう。最後に無駄にメタるのはシナリオライタの締める手癖なので、大目に見れば良いんじゃないんでしょうか。

  • その他、絵とかムービーとか

 PCからの追加CGはどれもクオリティ高く、ここで入れてくれるんだーというサービス精神溢れるものでした。とりわけ桜ルートの" 「全工程投影完了――――是、射殺す百頭」"はちょう興奮しましたし、"「いくぞ英雄王――――武器の貯蔵は充分か」"のアップはふおおおと胸きゅんが止まりませんでした。


 あと音声が付いたのが不安だったのですが、杞憂でした。キャラクタに合ってますし、シーン毎の演技は毎回毎回素晴らしかったです。例えばセイバールートで、セイバーが教会地下で言峰に聖杯は要らないのか聞かれ、「そ・・・それは」と一瞬揺れるのですが、最初の「そ」の響きに醜さが出ていました。台詞の文字だけより、セイバーらしい動揺が伝わってきたと感じられる素晴らしい声と演技でした。他にも例を挙げれば切りが無いほどです。
 個人的に音声をここまで歓迎するのは初めてなんじゃないですかね。良いお仕事でした。


 ムービーはセイバールート・凜ルートのものはそれなりなのですが、桜ルートのものが大層出来が良かったです。一瞬写る、士郎VSバーサーカーの躍動感といったら、もう。ご覧じろとだけ。
 それにしてもFate/stay nightアニメ化しませんかねー。

  • まとめ

 以上、そんなこんなで没頭した幸せな再プレイでした。FateファンでPS2版をプレイしていないなら、vitaともども購入してやるべきかと。

  • Link

OHP-PS VITAソフト「Fate/stay night Realta Nua」公式サイト