冷徹冷静しかしてXXX 感想

 以下の文章はゲーム内の具体的な内容にこれっぽちも触れていない、メーカーに対する勝手な妄想となりますのでご注意を。




  • 感想

 前作「委員長は承認せず」は一枚絵が微妙であり(何故か立ち絵は見れますが)、ヒロインに女性的な魅力が感じられず、その上でそれぞれのルートでの主人公とヒロインとの恋愛描写が下手という、減点方式で考えると散々なものでした。しかし萌えゲーにおける明快なセールスポイントとは全く関係のない所でほのかな期待を持たせる芽を出していました。シナリオ内で出てきた単語を解説する用語システムでは突っ込み・床屋談義・小粋な冗談といった無駄な文章の寄せ集めなのですが、全ての選択枝を選ばせる茶目っ気に溢れていました。またシナリオではヒロインが社会的な立ち位置で対立関係にあること(全然活かせていない)や、男子たちの友情話には見るべきものがありました。
 そういう売れ筋にはならない小手先の技は好きなので、続けれてくれれば応援したいと思っていました。


 で本作なのですが、登場人物を配置する手法は基本的には前作と同じで、学園内に対立関係に置き、利害の一致する限り共に行動させます。
 主人公だけが大きく異なり、日常では目標を持たず、ひたすら自分の精神にとって楽になりうる命令に追従し、ゲーム中で行動しようと思ったものに対しては悉くスキルがないという要らない子となっています。そのため他の登場人物たちからけちょんけちょんに罵られ、肝心なところでは介入を拒否されます。ここらへんは同化する人物として耐え難く、ストレスが溜まらないと言えば大嘘となります。
 個人的には主人公は対立関係の解消する機能として逆算で生まれたと納得しておきました。何処にもベクトルが向いていない主人公が誰かを選ぶことによって、その登場人物の目的がゲーム内で肯定されたとするならば、物語を動かす神の手としてそれなりに明快なんじゃないですかね。(まあ私の妄想はともかくとして、こうまで主人公の最低の姿が描かれていて製作者側が何も考えていないわけがないでしょう)
 残念だったのはそもそものヒロイン同士の対立に根幹に関わる重さがなかったことで、結局どのルートでもお遊戯を眺めるような冷めた感覚で見てしまいました。加えてヒロインの魅力も今一つ確立出来ず、ラブコメ関係は通り一遍という前作の欠点もばっちり受け継いでいました。


 初期のフラグ管理・足回りのバグは酷かったですし、用語でホットケーキがカ行にあるという理解に苦しむミスもあります(ver1.1)。


 絵も立ち絵は見れるものの、一枚絵は辛い構図が多かったです。
 
 
 ……総合するとまるで駄目なのですが、どういうことでしょうか。
 前作でも垣間見えた、対立するヒロイン・それぞれが持つ目的のためのスキル・社会での立ち位置・物語を動かすために作られた主人公といった(私だけに見える)散在する歯車が奇跡的に噛み合ってしまうと、変態的な傑作が生まれそうなんですがねー
 

 以上。まだ期待します。

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 OHP-Chien