神田アリスも推理スル。 雑感

 茶道部の2年・ 佐和良義宝珠はなんでも良く当てる占い師と噂されていた。親友が弓道部のカップを壊したと容疑されているのに憤った神田アリスは宝珠に事相談することになった。宝珠の瞳が赤く輝くとき、隠された感情と真相が暴かれる――

 DL専売のADV。最初から短編と広告され、つごう1500円しかもプレオーダーセールで1000円という値段から本当に短いんだろうなと事前に予測はしていましたが、百合ミステリと言うからには手を出さざるを得ません。
 現在進行形でモンハンライズに嵌り中で、また積みゲーは色々とあります(ブレイブグラウンド2とかシェルノサージュとかアルノサージュとか)が、取り合えず優先的にプレイしてサクッとコンプ。プレイタイムは1時間ちょっとであり、確かに値段相応のボリュームでした。

 ミステリとしては殺人事件のような荒事は起きない日常の謎物になります。事件というかイベントは3つで、それぞれアリバイ・心理トリック・暗号と趣向はこらされていました。
 ADVとしては神田アリス視点で佐和良義宝珠が見抜いた真相の筋密を追って推理する形式でしたが、リソースの点から登場人物は限られ、描写も多くはなく、選択肢の出し方も至って親切なので難易度は低いです。あまり一般的ではない知識を知ってるか知って無いかだけ問われる雑学テストがないのは良かったですね(ただラストの暗号めいた謎は流石に無理筋(出す方もありえないですし出された方もすぐわかる)なのでもうちょっと何とかして欲しかったかなと思います)。
 個人的おっと思ったのは、2件目ですかね(背景を使った物理かつ心理トリックになっていました)。

 ここでFLOWERSシリーズについて言及すると、自分がFLOWERSシリーズでの蘇芳の描写を褒めたのは"明晰なる者――名探偵が日常どう振る舞う"かの観点からになります。
 本作ではもちろん事件そのものも解かれる対象なのですが、事件の真相を解き明かす明晰なる名探偵/宝珠もまた解かれていくことになりました。
 だからこそ、神田アリスも推理する――という訳で。

 さて、さて、さて――・・・・・・
 頭の中で愉しかった日常を反芻し、
 切り替える。

 ひとの感情が判る目を持ち一歩先に間違えない解答に辿り着く存在の後を理をもって推し測って追い、彼女の考え方を――ひいては彼女を知る。
 その理を重ねた上で、感情に振り切ったアリスが出した答えを叩きつける――というのは日常物かつ恋愛物のミステリとしてはこれ以上ないオチでした。

 百合としてはまあまあでした。美味しいイベントやシチュをこなしますが、描写そのものはやや通り一遍なけらいがありました。
 ただクダンノフォークロアと言い、幼馴染が不遇なのは手癖なのか、性癖なのでしょうか。

 画はぼちぼち、音楽は弱かったですね。
 ただしコスパを考えると、十分以上の出来だったと思います。


 以上。作品単体としてお薦めするものではありませんが、個人的には楽しみました。

  • Link

 神田アリスも推理スル。