双亡亭壊すべし 1-25 雑感

 東京・沼半井に<双亡亭>というおばけやしきがある。空爆されても壊れない、ねじれたお屋敷。なんとしても<双亡亭>壊すべし――

 藤田和日郎氏による長編漫画。
 自衛隊空爆されても<双亡亭>は無傷で健在であり、なんとしてもかの屋敷を壊せと総理は全国民に告げる。

 
  (双亡亭壊すべし1巻 kindle No.169)

 そして巫女、祈祷師、超能力者、霊能研究者、自衛隊員、はたまた45年前に飛行機ごと神隠しにあった少年や、たまたま隣に住んでいた冴えない絵描きといった数多の面々が屋敷に挑む――という外連味溢れる導入。
 あとはもう、なかにおぞましいモノと絡繰りに満ち満ちた双亡亭にひたすら挑んでいきます。

 わかりやすいゴールが設定された上にアップダウンで翻弄されるジェットコースターのようなストーリー、毎度毎度極まった外連味たっぷりの展開と絵面、縦横無尽に動きまくるキャラクタたち。
 コズミックホラーのホラ吹きに膝を叩くも良し。
 途中から参上する黄ノ下残花少尉の格好良さに震えるも良し。
 全体を貫く人間賛歌に心をつかまれるのも良し。
 これぞ、面白いというのだと言わんばかりのエンターテイメントでした。

 以上、読めて幸せ級の傑作。

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