Eversion 感想

 フリーの2Dアクション。
 
 ↑のスクリーンショットから何となく伝わるでしょうが、画面や操作方法は単純です。使用するボタンは左右の移動とジャンプと“evert”だけで、宝石を集めつつゴールに向かうのが目的となっています。最終的にはお姫様のところにつくとエンディングです。


 システムはアクションゲームとしてよく出来ています。“evert”のボタンをある特定の場所で押すと世界が“めくられ”て別の世界が現わになるという設定で、ブロックや雲や植物や敵が少し異なるようになります。それによって壊せなかったブロックが壊せるようになったり、雲に乗れるようになったり、植物を通り抜けできるようになったりし、取れない場所に見えた宝石を取ることが出来たり、先に進めるようになったりします。そうしたバズル要素が無駄なく配置されていて、プレイし甲斐のある作品となっています。
 特に手が飛んでくるタイミングが実に巧妙になっていて、何度良い時にぶつかって悶絶したやら……


 しかし。
 しかし、です。プレイがちょっと難しいだけで終わらないのがこの作品。それは冒頭に出てきて、またread meにも書かれている言葉からして普通ではないとは判っていました。何しろ、これ。

 "sounds - possibly musical - heard in the night from other worlds or realms of being."
commonplace book - h. p. lovecraft

 誰もが知っている、特異な怪異な世界を作り上げた作家の不気味な一節を掲げて、普通であるはずがありません。
 そしてその予感は正しく。
 世界は変異を重ねる内に――狂っていきます。
 簡単に言えば血塗れスプラッタ。
で、血塗れを超えると本当のクトゥルフ的な世界が陰陰鬱鬱に出迎えてくれます。もうね、プレイしていて胸が震えました。その徹頭徹尾なこだわりに。それで最終的には宝石を集められなかったEndlingと、240個全部集めたGood Endingに分岐するのですが、これまたどちらも良い感じに頭のオカシイ――世界の終わりでした。両方必見です。


 そんな感じに全編で、“めくる”というプレイと、“めくられる”世界とが見事に調和していました。あまりにも美しい作りでした。お見事です。
 

 以上。出来るなら動画とか見ずにプレイされることをお薦めします。

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 Zaratustra Productions