2016年本ベスト

1.メロディ・リリック・アイドル・マジック
2.ハリー・オーガスト、15回目の人生
3.りゅうおうのおしごと!
4.無傷姫事件
5.雨の日も神様と相撲を


 そんなわけで2016年に発売されて読んだ本ベストを選んでみました。

 石川博品の新作。女子高生アイドルたちの物語。文章がノリノリで、リリカルな心理描写で、展開がキレキレ。傑作としか言いようがありません。
メロディ・リリック・アイドル・マジック (ダッシュエックス文庫DIGITAL)

 人生を何度も繰り返す体質の主人公は死ぬ間際に未来から世界の終わりが近づいてきているという伝言を受け取る――。
 序盤でリプレイ物のSFの王道を行きながら、途中から同じ様に人生を何度も繰り返している人種と出会い、その繰り返しの中で突如出現した敵との騙し合いのサスペンスで盛り上げ、殺意の果てに物凄い着地を来たします。陰謀論とか、拷問とか、世界への敵対とか――そういういかにもなものを好きな人に超お勧め。
ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)

 史上最年少で竜王位を得たが、それ以降スランプになっていた高校生棋士・九頭竜八一。彼のところに9歳の美少女が弟子入りに来る時から物語は始まる――という将棋ラノベ
 将棋への愛が熱く、棋士同士の戦いはシビアで、灼けるような展開が繰り広げられます。毎巻毎巻滅法面白く、なおかつ前巻を超えてくるという恐ろしい昇り調子。今のっているラノベシリーズ物を上げろと言われれば、迷わずこれを推します。
りゅうおうのおしごと!4 (GA文庫)

 上遠野浩平の最近の傑作の一つ。これまで積み重ねてきた異能を扱う手腕によって奇蹟のように美しい幕引きを演出します。
 詳しい感想はこちら→無傷姫事件 雑感 - ここにいないのは
無傷姫事件 injustice of innocent princess (講談社ノベルス)

  • 5.雨の日も神様と相撲を

 蛙に相撲を論理的に教えるのという異色の作品。整い過ぎて狂ったロジックはお見事でした。
 詳しい感想はこちら→雨の日も神様と相撲を 雑感 - ここにいないのは
雨の日も神様と相撲を (講談社タイガ)

  • その他

 今年出た作品では 「フェオーリア魔法戦記 死想転生」「ダンジョン飯3」「そして君になる3」「かぐや様は告らせたい3」「魔法使いの嫁1-6」「青の数学 1-2」あたりを楽しみました。特に「フェオーリア魔法戦記 死想転生」は死者の再利用、魂/アイデンティティから死の変革を遂げようとするファンタジー戦記で、荒々しいですが、曰く言い難い魅力に溢れていたので再読したいところです。
 また去年以降に出た作品では「MONUMENT あるいは自分自身の怪物」「土漠の花」「神子上典膳」などと楽しく
読みましたね。


 以上。2017年も面白い作品に出会えますように。